2010 Fiscal Year Annual Research Report
神経栄養因子活性を有する天然物の生物有機化学的研究
Project/Area Number |
22590029
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
福山 愛保 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (70208990)
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Keywords | パラジウム触媒反応 / 神経栄養因子 / 天然物 / 神経細胞培養 / 細胞内シグナル伝達 / 全合成 / 分子プローブ / 神経変性疾患 |
Research Abstract |
本年度は,四種の活性化合物ネオビブサニン(1),メリラクトンA(2),タアラアミデイン(3)ならびにフェニルブタノイドダイマー(8)の合成法の開発と構造活性相関研究,それらと平行して各種阻害剤を用いた薬理学的手法ならびに免疫組織学的手法を駆使して細胞内シグナル伝達系リン酸化亢進タンパクの同定により,主に1と3の活性化合物の作用機序を解析した。 1. 化合物3はテトラヒドロフラン環上に連続した4個の不斉中心を持ち,8個のジアステロ立体異性体が存在する。Evansアルドール反応と立体選択的ヒドロホウ素化反応および位置選択的光延反応を駆使し全ての立体異性体の合成に成功した。今後、それらの神経栄養因子活性を評価することで,活性発現に必要な立体化学を明にする。さらに、タアラアミデインの作用機構解明も順調に進み、AKT細胞内シグナル伝達系リン酸化亢進への関与が明らかにできた。 2. 以前から続けているネオビブサニン(1)の不斉合成は順調に進んでいる。以前に開発した不斉1,4付加反応による四級炭素構築と新たに開発した連続一酸化炭素挿入とStille-Heck反応を組み合わせることで、世界で初めて1の不斉合成に成功した。この合成法を用いることで、ネオビブサニンの部分構造を合成し、活性に必要な最小構造単位を明らかにできた。現在、この構造の蛍光プローブ化によって神経細胞内の標的分子を探索している。 3. インドネシア産ショウガ科バングル(Zingiber purpureum Roxb)から見出した神経栄養因子活性物質フェニルブタノイドダイマー(8)は、Diels-Alder反応で一段階で合成できるようになり、動物実験に供試できる体制が整った。現在、嗅球摘出マウスに経口投与し学習障害改善効果および脳内移行濃度を検討中である。
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Research Products
(5 results)