2012 Fiscal Year Annual Research Report
天然物合成を基盤とするエピジェネティクスを指向した構造活性相関研究
Project/Area Number |
22590034
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
濱島 義隆 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (40333900)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 有機化学 / 天然有機化合物 / エピジェネティクス / ヒストンメチル化 / chaetocin / 構造活性相関 / ジスルフィド / G9a |
Research Abstract |
遺伝子の発現制御機構はエピジェネティクスと呼ばれ、DNAのメチル化とヒストンタンパク質の化学的修飾により行われる。エピジェネティクスの異常がガンなどの疾病と密接に関与しているため、医薬品開発の新しい標的として興味深い。我々はヒストンの化学修飾に興味を持ち、生物学的研究に貢献できるバイオプローブの創製を目標に研究を行ってきた。 本研究では期間内に、リシン選択的ヒストンメチル化酵素に対する阻害活性を示す(+)-chaetocin (1)の全合成法と、それを基盤とするさまざまな誘導体合成を展開した。1はエピジチアジケトピペラジン(ETP)が二量化した複雑な八環性化合物である。我々は、非天然のD-アミノ酸由来の原料から9工程にて(+)-chaetocinの初の全合成を達成した。また、各反応における立体選択性の発現機構を明らかにし、有機合成化学的に有用な知見を得ることに成功した。 構造活性相関研究に関しては、天然物の基本骨格を保持した八環性化合物や単量体に相当する四環性化合物を含む詳細な誘導体合成を実施した。同時に、天然物を単純化させたエピジチアジケトピペラジン(ETPs)も種々合成した。合成した誘導体は、ガン細胞において過剰発現が認められているヒストンメチル化酵素G9aに対する阻害活性により評価した。その結果、ジスルフィドが活性発現に必須であること、構造を単純化することが可能であることを見出した。興味深いことに、セリンとプロリンより形成されるETPは天然物と同等の活性を示しつつも、一般にジスルフィド結合が原因となる細胞毒性を大きく軽減した。 以上の結果は、G9aに対する阻害メカニズムを説明する結合モデルの構築に繋がり、複数存在するヒストンメチル化酵素に対してサブタイプ選択的阻害剤を開発するための一助となる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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