2010 Fiscal Year Annual Research Report
センサーを用いた細胞膜と薬物の相互作用研究の新展開
Project/Area Number |
22590036
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
勝 孝 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40112156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 圭一 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (70323334)
駒越 圭子 岡山大学, 薬学部, 技術専門職員 (50437563)
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Keywords | センサー / 酸素電極 / イオン電極 / ポルフィリン / 光不活性化 / 膜電位 / 膜透過 / スーパーオキシドアニオン |
Research Abstract |
本研究は、細胞膜を標的とする薬物の作用機構の解析にセンサー法を応用し、センサー法を生物科学領域への新しい研究手法として確立していくことを目的としている。本年度得られた研究成果は以下の通りである。 1.色素による細菌の光不活性化機構を解明するために、細菌細胞質膜に対する色素の作用をセンサーを用いて系統的に検討した。本年度は、特に、カチオン性ポルフィリンの作用機構を、酸素電極、カリウムセンサーと膜電位測定用(テトラフェニルホスホニウム)センサーを用いて検討した。その結果、カチオン性ポルフィリンによる光不活性化は、呼吸阻害による膜電位低下が引き金になることを明らかにした。 2.カリウムセンサーを用いて、塩基性両親媒性物質の細菌膜、赤血球膜および肥満細胞膜に対する膜透過性増大作用を系統的に検討した。その結果、ヒスタミン遊離活性が強く、黄色ブドウ球菌に対して強い膜透過性増大作用をもち、酸性リン脂質との相互作用が強い塩基性両親媒性物質は、ラット腹腔肥満細胞からヒスタミン分泌後に、すぐに肥満細胞形質膜の透過性を増大させることを見出した。ヒスタミン分泌後にはホスファチジルセリンが細胞膜表面に出現することはよく知られており、今回の結果は酸性リン脂質と強い相互作用を示す両親媒性物質は細菌膜のみならず肥満細胞形質膜の透過性も増大できることを示した。また、これらの物質は、赤血球膜の透過性変化(溶血)を引き起こす濃度で、赤血球の形態をエキノサイト(外方突出)型に変形させた。したがって、今回検討した塩基性両親媒性物質は、細胞膜外層に優先的に蓄積することにより膜構造を不安定化させ、膜透過性変化を引き起こすものと考えられた。 3.その他、酸素電極を用いたスーパーオキシドアニオン(O_2^-)の新規定量法を開発した。
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Research Products
(6 results)