2011 Fiscal Year Annual Research Report
迅速な癌の光力学的治療を目指した酸素分圧診断と治療の融合型多機能製剤の開発
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22590052
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
竹下 啓蔵 崇城大学, 薬学部, 教授 (70175438)
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Keywords | ラジカル / ESR / 薬物送達システム / 生物物理 |
Research Abstract |
1.昨年度酸素プローブとして合成したPTM-TEは脂溶性が高く、本研究の目的には不向きであることが判明したため、本年度は、より水溶性のトリアリルメチルラジカルを合成することとした。しかし、中間体の収率が低く、現在のところ合成途中段階である。 2.磁気共鳴画像化法でのin vivo検出を可能にするため、ピペリジン環の4-hydroxy-TEMPOあるいはピロリジン環の3-hydroxymethyl-PROXYLでスチレン・マレイン酸共重合体(SMA)を標識した。いずれも結合率は350-420mmol/gであった。等張リン酸緩衝液中で未標識SMAの平均粒子径は約170nmであったのに対し、PROXYL-標識SMAでは約46nmであった。TEMPO標識SMAではさらに小さかった。標識によりSMA分子同士の会合が制限されたためと思われる。SMA結合ニトロキシルのESRシグナルはいずれも幅広化した。回転相関時間は、TEMPO標識SMAで約70ns、PROXYL標識SMAで約45nsであった。一方、4-hydroxy-TEMPO,3-hydroxymethyl-PROXYLはいずれも約3nsであった。 PROXYL標識SMAは3-hydroxymethyl-PROXYLと同様にアスコルビン酸に対して抵抗性を示し、TEMPO標識SMAでは4-hydroxy-TEMPOと同様アスコルビン酸で還元された。マウス血漿との接触で、いずれの標識SMAのESRシグナルも著しく幅広化し、これら標識SMAが血清タンパク質と強固に結合することがわかった。このことから、in vivoでの検出手段として、ESRシグナルに基づく検出法よりもニトロキシルによる水プロトンの緩和時間短縮を利用たMRIにより検出する方向で進めるべきであることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水溶性トリアリルメチルラジカルの合成に手間取り、これを使用した実験が遅れている。その他については順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究で、SMAは生体分子との相互作用が強く、標識のESRシグナルが幅広化することが判明した。そのため、in vivoでの検出手段としてMRIを使用する方向へ変更する。さらに、SMAに替えて生体分子との相互作用の小さいデキストランを用いて進めることとする。
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