2011 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質構築過程におけるMDGAファミリー因子群の役割
Project/Area Number |
22590055
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 融 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (10251480)
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Keywords | 大脳皮質 / 細胞移動 / 発生分化 / 神経細胞 / 組織構築 |
Research Abstract |
MDGA1はイムノグロブリンスーパーファミリーに属するGPIアンカー型の細胞外タンパク質である。我々はこれまでに、MDGAlが中枢神経系の特定の神経群において発現が見られること、軸索走行領域に存在する未同定の因子とMAMドメインを介してheterophilicに結合すること、さらに、大脳新皮質の発生過程においては主としてII/III層を構成する神経群において選択的に発現が見られることを明らかにしてきており、本研究においては、MDGA1およびそのファミリー分子であるMDGA2ノックアウトマウスの作製・解析により、MDGAファミリー因子群の大脳皮質構築過程における機能を探ることを目的としている。昨年度までに、MDGA1ノックアウトマウスの解析から、MDGA1は将来II/III層を構成する神経群の一部に発現しており、mGAlの欠失により、それら神経細胞群の皮質板内における放射状移動が遅滞することを明らかにした。このとき、Cux2陽性細胞の移動においては顕著な差異は認められなかったことから、皮質板内における放射状移動には細胞種による多様性が存在することが示唆された。今年度はこの仮説を検証する目的で、II/III層を構成する神経群の一部に選択的に発現する遺伝子群をマーカーとして、これらを発現する神経細胞群の皮質板内での位置を経時的に観察した。その結果、一部の遺伝子を発現する特定の神経群において、その皮質板内での存在様式に差異が認められた。この結果は、先の仮説を支持するとともに、その意義を明らかにしていく上でも有用な知見である。また、MDGA1のファミリー分子であるMDGA2ノックアウトマウスの作製を進め、その作出に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MDGA1欠失マウスの解析結果から新たに得られた大脳新皮質構築機構についての仮説の検証に進展が見られたとともに、MDGAファミリー因子群の寄与を解析する上で不可欠なMDGA2ノックアウトマウスの作出に成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
MDGAファミリー因子がすべて欠失した状態において、大脳皮質構築過程にどのような異常が生じるのかを明らかにする。また、放射状細胞移動の細胞種による多様性が、大脳新皮質構築においてどのような意義を有しているのか、について解析を進める。
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Research Products
(14 results)