2011 Fiscal Year Annual Research Report
チロシンリン酸化シグナリングによる細胞分裂制御とその破綻による細胞癌化
Project/Area Number |
22590056
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 祐治 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (10280918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福本 泰典 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (10447310)
山口 直人 千葉大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (00166620)
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Keywords | 細胞分裂 / チロシンリン酸化 / Src型チロシンキナーゼ / 癌 |
Research Abstract |
(1)Src型チロシンキナーゼによる細胞分裂制御機構の解明: 分裂期におけるERKキナーゼの活性を調べた結果,Srcキナーゼ活性に依存してERKが活性化されることがわかった。また,Src阻害剤PP2とAurora B阻害剤ZM447439の併用により単極性スピンドル様の異常なスピンドル形成が観察された。 (2)Src活性亢進の細胞分裂への影響:これまで,v-Src発現により細胞の二核化が誘導されることを見出したので,v-Srcによる細胞分裂への影響を調べた。 (a)細胞質分裂への影響:細胞二核化の原因の一つとして細胞質分裂阻害が推定された。よって,v-Src誘導発現株にドキシサイクリンを添加し,細胞質分裂の特徴である収縮溝を持つ細胞の割合を調べた。その結果,v-Src発現による細胞質分裂阻害が観察された。 (b)中心体数への影響:細胞周期S期およびG2期において複製された中心体は細胞分裂により二つの娘細胞へと分配されるため,細胞質分裂の阻害は中心体数の増加を引き起こす。そこで,v-Src誘導発現細胞株にドキシサイクリンを添加して培養し,中心体マーカーであるγチューブリンを免疫染色して中心体数を調べた。その結果,v-Src発現による中心体数の増加が観察された。 (c)スピンドルチェックポイントへの影響:二核化した細胞は,中心体数の増加により異常なスピンドルを形成するが,通常はスピンドルチェックポイントの働きにより異常な細胞分裂はおこらない。v_Src誘導発現細胞株にドキシサイクリンを添加して培養し,微小管重合阻害剤であるノコダゾールを加えてチェックポイントを活性化し,チェックポイントが機能しているか調べた。その結果,v-Src発現によりチェックポイントが部分的に阻害されていることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した計画についてほぼ終了した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで得られた結果が他の細胞株においても観察されるかどうか調べることは,Src活性亢進の影響が癌種にかかわらず現れるのかを推定する上で重要である。よって,他の細胞株を用いてv-Src誘導発現株を作製しv-Src発現の影響を調べる。また,細胞質分裂の阻害を引き起こすメカニズムの解明を目指す。.
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