2011 Fiscal Year Annual Research Report
ペルオキシソーム機能障害と小胞体ストレス -新しい脱ミエリン化の分子機構-
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22590060
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
守田 雅志 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (20191033)
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Keywords | ペルオキシソーム / 小胞体ストレス / 極長鎖脂肪酸 / ABCタンパク質 / アストロサイト / ABCD1 |
Research Abstract |
グリア細胞、特にアストロサイトに存在するペルオキシソームABCタンパク質ABCD1欠損における小胞体ストレスと神経変性への関与について解析を行った。 1)アストロサイト培養系からのミクログリアの除去 アストロサイト初代培養系ではミクログリアの混入が結果に大きく影響する。そこで、分離したアストロサイトにAra-C(シトシンアラビノース)、及びLME(ロイシンメチルエステル)処理を行いミクログリア除去の条件検討を行った。Iba-1抗体を用いた蛍光抗体法、及びイムノブロッティングにより、ミクログリア除去の条件を決定した。 2)LPS(リボ多糖)処理による遺伝子発現の違い 前年度のマイクロアレイの結果をもとに、神経変性に直接関わる炎症性サイトカイン、酸化ストレス反応関連遺伝子、及び小胞体ストレス反応関連遺伝子についてreal time PCRにより解析を行ったが有意な違いは認められなかった。そこで、外因性の刺激による感受性の違いを検討した。野生型及びABCD1欠損アストロサイトにリポ多糖を12時間処理し、サイトカインやケモカイン、及び小胞体ストレス応答遺伝子の発現を比較検討した。その結果、TNFα、IL-1β、OASISなどの遺伝子発現に有意な差は認められなかった。一方、ケモカインであるCCL5,CXCL1,CCL2では、野生型に比べABCD1欠損アストロサイトで発現の増加が認められた。 以上の結果から、ABCD1を欠損したアストロサイトでは、LPS刺激に対するケモカインの応答に顕著な違いが認められだ。今後、この違いが極長鎖脂肪酸代謝異常や神経変性とどの様に関わっているか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画で使用するグリア細胞の初代培養の実験系では、一つの実験に長期間の培養が必要となる。またマウスの飼育室も限られているため一度に多くの実験が困難である。そのため、当初の計画よりも遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画ではペルオキシソーム機能欠損と小胞体ストレス関連を中心に解析を行う予定であるが、炎症反応との関連性も同時に解析していく計画である。また本年度はミクログリアについても検討を行う予定である。初代培養系では頻繁な実験の遂行が困難なため、不死化したグリア細胞(アストロサイト、オリゴデンドロサイト、ミクログリア)の調製を行い実験する予定である。
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