2012 Fiscal Year Annual Research Report
感覚神経伝達物質CGRPによる生体防御系制御機構の解明
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22590062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻川 和丈 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (10207376)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | CGRP / Th細胞 / 神経系 / 環境因子 / 化学物質 |
Research Abstract |
神経系による免疫系の制御機構の存在は古くから提唱されているが,実際に精神的な要因と炎症性疾患の関連性を分子生物学的に解析した例は少ない.本研究では,神経ペプチドカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の受容体が獲得免疫やアレルギー疾患において重要な役割を担うヘルパーT (Th)細胞にも発現していることを明らかにしたことから,CGRP受容体を介したTh細胞の分化,機能に対するCGRPの機能研究を進めた.CGRP受容体特異的サブユニットであるreceptor activity-modifying protein 1 (RAMP1)欠損マウスを用いて解析した結果,このマウスはTh9細胞分化抑制による気道炎症の減弱やTh17細胞分化抑制による多発性硬化症モデルの実験的脳脊髄炎の減弱が認められた.このことはCGRPが生理的にTh2細胞,Th9細胞,Th17細胞の機能を促進し,アレルギー反応を制御していることを示すものである.またCGRPによるTh細胞の機能制御シグナル伝達においてcAMP/PKA経路の新たな制御機構の存在を認めた.CGRPはTh1細胞分化を抑制し,Th2細胞,Th9細胞,Th17細胞分化を促進するが,その機序としてcAMP/PKA経路の活性化,GSK-3βの不活性化によるNFATc2の核内移行促進機構が存在する. 一方,精神的ストレス(拘束ストレス)や化学物質(ホルムアルデヒド等)の刺激によってCGRPの産生量が増加することや,それらの刺激に伴いアレルギー反応がより顕著になることも示された.これらの結果は,環境要因が神経系に対する影響を介してアレルギー疾患の発症や悪化を引き起こす過程においてCGRPが重要な役割を果たしていることを世界で最初に示すものである.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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