2011 Fiscal Year Annual Research Report
貪食におけるイノシトールリン脂質の時空間的役割―RNA干渉を併用したイメージング
Project/Area Number |
22590065
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
櫨木 薫 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50146007)
|
Keywords | イノシトールリン脂質 / マクロファージ / 貪食 / RNA干渉 |
Research Abstract |
マクロファージによる異物の貪食と排除の過程においては、食胞上で様々なイノシトールリン脂質が順を追って生成、消失し食胞の成熟と消失を導く。しかし、特定のイノシトールリン脂質の合成、分解に関与しうる酵素は複数あり、いずれの合成酵素または代謝酵素が食胞成熟の過程を橋渡ししていくのかは未解明である。イノシトールリン脂質関連酵素は早期胚性致死故にノックアウトできない分子が多いことが、この過程に関与する分子の同定を困難にしている。そこで我々はRNA干渉で標的となるイノシトールリン脂質合成、代謝酵素をノックダウンした細胞を作成し、これらの細胞に種々のイノシトールリン脂質と特異的に結合する蛍光プローブを導入して貪食の過程を生細胞タイムラプスイメージングで解析することを企画した。22,23年度までに以下の分子を欠損した細胞を作成している。SHIP1, SHIP2, 72k-5ptase, Skip, Synaptojanin 2(イノシトールリン脂質5位脱リン酸化酵素)、PTEN,MTM1,MTMR2(イノシトールリン脂質3位脱リン酸化酵素)、VPS34(3位リン酸化酵素、クラスIII)、VPS15(VPS34制御サブユニット)、PI3KCIIa(3位リン酸化酵素、クラスIIa)、PIKfyve(5位リン酸化酵素),Vac14(PIKfyve制御サブユニット)、Sac1(3、4位脱リン酸化酵素)、pNPP4(4位脱リン酸化酵素)。クラスI型3位リン酸化酵素欠損細胞はそれ以前に作成済みである。これらの細胞を用いて食胞を縁取るPI(3,4,5)P3、PI3Pの出現と消失を蛍光プローブで追跡し、輝度を定量して経時変化を数値化した。現時点では食胞のPI(3,4,5)P3は主としてPTENで脱リン酸化されてPI(4,5)P2となること、およびPI3PはPIKfyveでリン酸化されてPI(3,5)P2となることの二点が明らかになっている。また、PI(3,4,5)P3から5位脱リン酸化によってPI(3,4)P2に代謝される経路では72k-5ptaseが機能している可能性が高い。その他の解析は進行中である
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各酵素欠損細胞の作成は順調に進行しており、解析結果も蓄積されつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
各欠損細胞について最低2種類の異なるshRNA配列、それぞれについてさらに最低2種類のクローンの作成をめざしている。現時点では、一種類の配列しかできていないものも多いので、欠損細胞の表現型に明らかな影響が見られた酵素については重点的に複数の細胞を作成して確認し、例数を増やしていく必要がある。
|
Research Products
(6 results)