2011 Fiscal Year Annual Research Report
神経形態と遺伝子発現のリンク:アクチン結合性転写因子MKLとBDNFを中心として
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22590080
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田渕 明子 富山大学, 大学院・医学薬学研究部(薬学), 准教授 (40303234)
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Keywords | 神経生物学 / 分子生物学 / MKL / SRF / 遺伝子発現 / 神経形態 |
Research Abstract |
我々は、アクチン結合ドメインを持つserum response factor(SRF)転写活性化因子であるmegakaryoblastic leukemia(HKL)に着目し、その機能について解析することで、神経形態変化と遺伝子発現との相互作用という新規機構の解明に取組んでいる。本研究では、activity-regulated cytoskeleton-associated protein(Arc)遺伝子プロモーターのSRF結合配列であるSREに着目し、SRE部位へのMKLの関わりについて解析を行った。その結果、特にSRE配列がBDNFによるArc遺伝子プロモーター活性化に大きく寄与していることが明らかとなった。さらにRNA干渉によるMKLノックダウンにより、BDNFによるArc遺伝子プロモーターの活性化が抑制された。また、クロマチン免疫沈降法によりmkLがArcプロモーター上に結合しうることを示唆する予備的な結果を得た。さらに変異導入実験により、SREに存在するCCArGG配列以外の配列が転写を抑制する役割を持つことが示唆された。また、新規ニューロン特異的MKL2のスプライスバリアントをコードするcDNAをクローニングし、そのエキソンイントロンの構成を調べた。その結果、神経細胞でのみ利用されるエキソンの存在が明らかとなった。つぎに発現分布について調べたところ、脳の発達に応じて発現量が上昇し、グリア細胞にはほとんど発現していないことが明らかとなった。また、海馬、大脳皮質に多く発現し、小脳では低かった。さらに、ニューロン特異的MKL2のスプライスバリアントを特異的にノックダウンするRNA干渉用ベクターを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ計画どおりに進んでいるが、MKLのリン酸化が遺伝子発現にどのように影響するかについては未だ未解決である。MKLのリン酸化予想部位に変異を導入しても遺伝子発現への影響はほとんどなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
Arc遺伝子プロモーター上のSREが脳由来神経栄養因子BDNFに顕著に応答することが明らかとなった。SREにはSRFが結合するが、さらにSRFに結合するコファクターの種類が重要となる。コファクターには、MKLとternary complex factor(TCF)があるため、次年度では、コファクターの使い分けがArc遺伝子発現の正負の制御を決定するかどうかを調べることが重要となる。 また、MKL2の新規スプライスバリアントについては、神経特異的発現を示すため、神経特有の機能に関係する可能性が高い。今後は、既に構築したRNA干渉用のベクターによるMKL2ノックダウンが神経形態や遺伝子発現にどのように影響するのかが重要である。また、MKL2の新規スプライスバリアントの機能を動物レベルで理解することを発展的課題とし、次年度ではKOマウス作製の準備も行っていくことを計画している。
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[Journal Article] Synthesis and biological evaluation of pyrethroid insecticide-derivatines as a chenical inducer for Bdnf mRNA expression in neurons2012
Author(s)
Matsuya, Y., Ihara, D., Fukuchi, M., Honma, D., Itoh, K., Tabuchi, A., Nemoto, H., Tsuda, M.
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Journal Title
Bioorg.Med.Chem.
Volume: 20
Pages: 2564-2571
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Up-regulation of L-type amino acid transporter 1 (LAT1) in cultured ratretinal capillary endothelial cells in response to glucose deprivation2011
Author(s)
Matsuyama, R., Tomi, M., Akanuma, SI, Tabuchi, A., Kubo, Y., Tachikawa, M., Hosoya KI.
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Journal Title
Drug Metab.Pharmacokinet.
Volume: (In press)
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Deltamethrin, a type II pyrethroid insecticide, has neurotrophic effects on neurons with continuous activation of the Bdnf promoter2011
Author(s)
Ihara, D., Fukuchi, M., Honma, D., Takasaki, I., Ishikawa, M., Tabuchi, A.Tsuda, M.
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Journal Title
Neuropharmacol
Volume: 62
Pages: 1091-1098
DOI
Peer Reviewed
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