2010 Fiscal Year Annual Research Report
SLCトランスポーターによる神経系前駆細胞の増殖・分化能制御
Project/Area Number |
22590081
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中道 範隆 金沢大学, 薬学系, 准教授 (10401895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 将夫 金沢大学, 薬学系, 教授 (30251440)
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Keywords | 脳・神経 / 脳神経疾患 / 神経科学 / 薬理学 / 輸送担体 |
Research Abstract |
研究代表者は、SLCトランスポーターの中でもカルニチン/有機カチオントランスポーターOCTN1が神経細胞に機能的に発現することを世界で初めて見出した。しかしながら、神経細胞以外の中枢神経系構成細胞におけるOCTN1の機能的発現は未解明なままである。そこで本研究では、神経系前駆細胞におけるOCTN1をはじめとする種々のSLCトランスポーターの機能的発現を明らかとし、発現の明らかとなったトランスポーターの生理的役割を検討することにした。マウス神経芽腫細胞Neuro2Aは未分化な増殖性の細胞であり、レチノイン酸による分化誘導によって神経突起を伸展させることから、神経細胞への分化が決定した神経前駆細胞のモデル細胞と考えることができる。このNeuro2A細胞における種々の有機カチオントランスポーターの発現を定量的PCRによって確認したところ、OCT1~3、OCTN1~3のいずれ、も発現していることが確認された。研究代表者が着目するOCTN1の発現が確認されたことから、機能的発現および生運的役割の解析については、先ずOCTN1に関して行うことにした。放射標識されたOCTN1の特異的基質の取り込み活性測定により、Neuro2AにOCTN1が機能的に発現していることが明らかとなった。そこで次に、Neuro2Aに発現しているOCTN1をsiRNAによってノックダウンし、細胞の増殖性や分化率にどのような影響を及ぼすのかを検討した。その結果、OCTN1の発現を抑制した細胞では、細胞増殖率の指標となるミトコンドリア活性、および細胞分化率の指標となる神経突起伸展のいずれも阻害されることが明らかとなった。以上の結果より、神経系前駆細胞にOCTN1が機能的に発現しており、増殖能および神経細胞への分化能を促進している可能性が示唆されたため、来年度は本年度に確立したマウス胎児脳由来初代培養神経系前駆細胞を用いてさらなる検討を加える。
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Research Products
(19 results)