2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590082
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
末丸 克矢 愛媛大学, 医学部附属病院, 准教授 (50363239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 博陽 愛媛大学, 医学部附属病院, 教授 (50294450)
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Keywords | 擬似的ウイルス感染 / polyI : C / 中枢神経障害 / 痙攣 / てんかん / 角膜キンドリング |
Research Abstract |
重症ウィルス感染症は、しばしば中枢神経障害を誘発し痙攣発作を併発するため、その病態や治療薬の研究には病態モデルの作成が重要である。作年度の研究では合成2重鎖RNAのpolyI:Cを実験動物に投与して擬似的ウィルス感染モデルを作成し検討を行ってきた。今年度は角膜キンドリングの手法を用いて"こんかんマウス"を作成し、'てんかんモデルにおけるpolyI:C投与の影響を検討した。まず、単回では痙攣を惹起することない電流をマウスの角膜より通電し、この刺激を繰り返すことで最終的に全身性の痙攣発作を惹起する、いわゆる"てんかん原生を獲得したてんかんモデル"を作成した。この"てんかんマウス"に抗てんかん薬のバルプロ酸ナトリウムを投与すると用量依存的な痙攣の抑制が認められた。次に、"てんかんマウス"に対して、痙攣を誘発することない低電流値を動物個々に設定した。ヒトで痙攣を増悪することが知られているヒスタミンH1受容体遮断薬(ジフェンヒドラミン)を前投与した後にその低電流を負荷すると、痙攣の増悪が確認された。すなわち、本てんかんモデルは、負荷電流量を調節することで、薬剤による痙攣の抑制と増悪を評価できる有用なモデルあることが明らかになった。この"てんかんマウス"にpolyI:C;を投与して、角膜キンドリングを調べると有意な痙攣閾値の低下が認められ、その増悪は無処置のマウスを用いた場合と比較して顕著であった。"てんかんマウス"におけるpolyI:Cによる痙攣増悪は、脳内ミイクログリアの活性化阻害作用を有するミノサイクリンを前処置することにより抑制された。従って、"てんかんマウス"にpolyI:Cを投与した擬似的ウィルス感染モデルは、ウィルズ感染に伴う痙攣発作などの中枢神経障害の研究に有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、疑似的ウィルス感染症モデルを作成し中枢神経障害への影響を解明することであるが、臨床で問題となる痙攣との関連性に研究が進んでいる。特に、polyI:Cの投与方法(末梢投与および脳室内投与)や、てんかん病態モデルを応用することにより研究が進展している。今後は、脳内サイトカインとの関連性を検討することにより、その詳細が明らかになると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、痙攣増悪を評価できる疑似的ウィルス感染症モデルが完成したため、次はその詳細な機序解明と治療薬の探索研究を行う。まず、polyI:Cを投与した擬似的ウ・イルス感染モデルにおける脳内炎症性サイトカインの変動を検討する。次に、新たな治療薬の探索に関しては、近年、非ヒストン核蛋白の主要成分であるHigh Mobility Group Box Protein 1(HMGB1)が炎症性メディエーターとして作用すること、ならびにその作用にα7ニコチヒ受容体が関与することが明らかになり注目されているため、HMGB1抗体やα7ニコチン受容体作動薬の髭響を検討する。
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Research Products
(2 results)