2011 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞時におけるG蛋白質共役7回膜貫通型受容体キナーゼ5の役割解明
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22590083
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
仲矢 道雄 九州大学, 薬学研究院, 助教 (80464387)
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Keywords | 心臓 / G蛋白質共役型7回膜貫通型受容体キナーゼ / 心筋梗塞 |
Research Abstract |
我々はこれまで心臓におけるβ1アドレナリン受容体からのシグナル伝達についてG蛋白質共役型7回膜貫通型受容体キナーゼ(GRK)など様々な分子のノックアウト(KO)マウスを用いて解析を行ってきた。β1受容体を含め7回膜貫通型G蛋白質共役受容体は一般に、受容体刺激に伴って活性化するGRKファミリー分子によりリン酸化され、脱感作へと導かれる。GRKファミリーは現在7種存在し、心臓においては特にGRK2,5が豊富に発現することが知られている。興味深いことにそれら分子は心不全患者の心臓において発現が増加している。GRK2に関しては近年、その心不全時の役割に関して精力的に研究がなされ、圧負荷による心肥大、心筋梗塞時の両方において病態を悪化させる分子であることがわかってきた。しかし、GRK5の心不全時における役割はあまりよくわかっていない。そこで本研究では心筋梗塞時におけるGRK5の役割を明らかにすることを目的とした。平成22年度にマウスに心筋梗塞モデル作成処置(冠動脈左前下行枝の結紮)を施すと、処置後3日目、7日目の心臓においてGRK5のmRNA量が約2倍程度に増加すること、およびGRK5のKOマウスは野生型のマウスに比べ、心筋梗塞モデル処置後の生存率に有意な差が認められることを見出した。これらの結果を踏まえ、平成23年度はさらに解析を進めた。まず、GRK5に特異的な抗体を用いて心筋梗塞処置後の心臓においてはGRK5のタンパク量も増加することを見出した。心筋梗塞処置後の心臓においては壊死した梗塞部位を補填するために線維芽細胞による線維化が起こる。マウス心臓切片を用いて線維化を評価するピクロシリウス染色を行った所、GRK5のKOマウスにおいては野生型のマウスに比べこの線維化が不十分であることが明らかとなった。この結果に対応し、定量的RT-PCR法によって、線維化に関連する遺伝子の発現変化を調べた所、梗塞処置後3日目のGRK5のKOマウスにおいてそれら遺伝子の発現上昇が抑制されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心筋梗塞モデル処置後の野生型マウスとGRK5KOマウスとの病態を比較することにより、GRK5が梗塞処置後の心臓の線維化に関与することを初めて見つけることができた。今後はこの線維化に対するGRK5の関与をさらに詳細に検討していく。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは心筋梗塞部位においてGRK5を発現する細胞群を免疫染色等により明らかにする。その後、この細胞群が心臓の線維化にどのように関与するのかについて詳細に調べて行く予定である。
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Research Products
(8 results)