2012 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス抵抗性形成機構におけるエピジェネティックな遺伝子発現制御の解明
Project/Area Number |
22590086
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
武田 弘志 国際医療福祉大学, 薬学部, 教授 (70206986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 稔 国際医療福祉大学, 薬学部, 准教授 (70297307)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | ストレス抵抗性 / エピジェネティクス / セロトニン(5-HT) / 5-HT1A受容体 / ヒストンアセチル化 / ヒストン脱アセチル化酵素 / トリコスタチンA / マウス |
Research Abstract |
H23年度までに、5-HT1A 受容体作動薬の処置により形成されるストレス抵抗性と、海馬におけるアセチル化ヒストンH3(AcH3)タンパク量の経時間的関連性を見出している。また、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるトリコスタチンA(TSA)を脳室内に処置することにより形成されるストレス抵抗性と、海馬AcH3タンパク量の経時的関連性についても同様に明らかにしている。さらに、そのストレス抵抗性形成因子として、ストレス性精神疾患で注目を集めている脳由来神経栄養因子(BDNF)の関与を見出している。 H24年度において、まず、TSA誘発ストレス抵抗性とBDNFとのエピジェネティクス連関を詳細に解明すべく、BDNFの発現制御を担うヒストンH3リジン(K)9および27のアセチル化について検討した。その結果、AcH3K9およびAcH3K27は、TSA投与2時間後をピークに増加することが明らかとなり、これは、BDNFのmRNA発現亢進との経時的相関が得られた。以上のことから、ストレス抵抗性の形成に、海馬ヒストンアセチル化を介したBDNFの発現亢進が一部関与していることが示唆された。 さらに、ストレス抵抗性の形成が5-HT1A受容体作動薬特有の効果であるか否かを検証すべく、種々の抗不安薬および抗うつ薬を用いて、同様にスクリーニング試験を行った。マウスにジアゼパム、フルボキサミン、ミルナシプラン、イミプラミン、タンドスピロンあるいはトラゾドンを投与した24時間後に1時間の急性拘束ストレス刺激を負荷し、直後に自動ホールボード試験に従い情動性を評価した結果、急性拘束ストレス負荷で認められる穴のぞき行動や立ち上がり行動の減少に対し、各薬物の前投与は著明な効果を示さなかった。以上の結果から、ストレス抵抗性の形成には、5-HT1A受容体を選択的完全作動薬により刺激することが重要であると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(8 results)