2010 Fiscal Year Annual Research Report
レプチンの疼痛増悪作用における病態生理学的機序の解析
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22590090
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
尾崎 昌宣 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (30094650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸岡 史郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60137255)
前田 武彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50271010)
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Keywords | ヌクレオカイン / 神経障害性疼痛 / HMGB1 |
Research Abstract |
これまでに、末梢神経傷害による神経障害性疼痛モデルを用いて、レプチンの疼痛形成における役割を明らかにしてきた。本研究ではレプチンの疼痛増悪機構をより詳細に解明するために、その上流因子としてヌクレオカインの一種であるHMGB1に注目し、その神経障害性疼痛における機能的関与を検討した。神経障害性疼痛モデルとして、坐骨神経部分結紮を行い、アロディニア(触刺激による疼痛反応)および熱痛覚過敏(熱刺激による疼痛過敏)を呈するマウスを使用した。坐骨神経について、結紮後のHMGB1タンパクおよびmRNA発現量の経時変化を調べた結果、変化はみとめられなかった。また、免疫組織化学的手法により、組織分布と細胞内局在を共焦点顕微鏡にて検索したところ、対照群の坐骨神経シュワン細胞の核における局在がみとめられたが、結紮群では核外にも分布していた。HMGB1およびレプチン遊離量の変化を検討するために、結紮後の坐骨神経を培養液中で維持し、培地中のHMGB1およびレプチンをELISA法により定量したところ、いずれも増加していた。HMGB1の疼痛形成への機能的関与を明らかにするために、siRNAおよび中和抗体を投与して、結紮による疼痛行動への影響を検討した。その結果、いずれの処置も、疼痛形成を抑制した。さらに、HMGB1が疼痛のイニシエーターであることを調べるために、HMGB1組換え体を投与したところ、疼痛形成がみとめられた。HMGB1誘発疼痛行動におけるレプチンの関与を明らかにするために、レプチン遺伝子欠損動物であるob/obマウスに対するHMGB1投与の影響を評価した。その結果、ob/obマウスにおけるHMGB1誘発疼痛形成は減弱していた。以上の結果は、疼痛形成過程におけるHMGB1の関与と、そのシグナル下流におけるレプチンの存在を示唆する。
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