2010 Fiscal Year Annual Research Report
全般てんかんにおけるSUMO化修飾を介したタンパク質安定化機構の役割に関する研究
Project/Area Number |
22590095
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
渡邊 正知 徳島文理大学, 薬学部, 准教授 (30306203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 康一 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (30291149)
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Keywords | 全般てんかん / 神経型一酸化窒素合成酵素 / 一酸化窒素 / SUMO / ペンチレンテトラゾール |
Research Abstract |
ペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発キンドリング獲得には、持続的に高発現する神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)によって産生される過剰なNOが、その一因と考えられている。本研究では、過剰なNO発生部位をその病巣とし、また過剰なNOを産生するnNOSタンパク質の安定化/分解制御異常をてんかん発症のメカニズムと位置付け、それらの解明を手掛かりに、全般てんかん発症メカニズムにおけるタンパク質安定化機構の役割を明らかにすることを目的とする。今年度は以下を明らかにした。 (1)タンパク質の安定化/分解を抑制するsmall ubiguitin-related modifier (SUMO)に着目し、新たなnNOSのSUMO-1化修飾機構を同定した。 細胞発現系,in vitro実験系,質量分析を用い、nNOSがSUMO-1によって修飾されることを証明した。さらにnNOSのSUMO-1修飾サイクルにおけるUbc9(E2)依存性、PIASxβ(E3)の関与、SENP-1,-2による脱SUMO化をそれぞれ特徴づけ、新たな翻訳後修飾機構を明らかにした。このように、「全般てんかんにおけるSUMO化修飾を介したタンパク質安定化機構」を解析するための重要な基盤的知見を得た。 (2)PTZ誘発痙攣を誘発する過剰なNO発生部位とNO発生量の定量解析から、全般痙攣発作を惹起するNOの「閾値」を見出した。 Ex vivo x-band EPRを用い、PTZ投与時に発生する脳内NOを直接測定し薬理学的に検討した。その結果、大脳皮質・海馬・小脳の全ての部位でのnNOS依存的なNO発生量が正常時の約1.5倍以上になると、激しい間代性痙攣が誘発される。また痙攣を誘発するNOは、グルタミン酸神経活動に依存して発生することを明らかにした。これらの知見は、NOがモデル動物における全般痙攣発作の新たな指標となる可能性を示唆する。
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