2011 Fiscal Year Annual Research Report
癌マーカーのアルドーケト還元酵素を標的とする制癌剤の開発
Project/Area Number |
22590102
|
Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
原 明 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (00094334)
|
Keywords | ヒドロキシステロイド脱水素酵素 / アルドーケト還元酵素 / アルドース還元酵素 / 制癌剤 / 高次構造 / 医薬品設計 / 阻害剤 / 抗癌剤耐性 |
Research Abstract |
ヒトの癌部位及び癌細胞で発現上昇し、癌マーカーとして注目される、3種類のヒドロキシステロイド脱水素酵素(3α-HSD2型、17α-HSDと20α-HSD)、アルドース還元酵素(AR)及びAR類似酵素(AKRIB10)を標的にした新規な制癌剤の開発を最終目的として、今年度は以下の4点を研究した。 1.阻害剤の探索・創製。(1)3α-HSD2型阻害剤:前年度に見出した強い阻害剤トルフェナム酸と高選択的阻害剤バッカリンの阻害度および阻害選択性に関わる重要なアミノ酸を明らかにし、前者については論文として公表した。(2)AKRIB10阻害剤:高選択的阻害剤のオレアノール酸について選択性を決定する酵素の構造部分も明らかにし、カフェ酸エステルをリードとして現時点で最強かつ選択的な阻害化合物の合成に成功し、両成果を論文として公表した。(3)AR阻害剤:アルカロイドをリードとして合成した選択的AR阻害剤を論文として公表した。 2.結晶化と高次構造解析。20α-HSD阻害剤として合成した化合物の中で最強の3-chloro-5-phenylsalicylicacidとの複合体の結晶構造を解析し、その選択的阻害に関与する構造部分とメカニズムを明らかにし、20α-HSD阻害剤に関するこれまでの成果をまとめて総説として公表した。 3.培養細脚における各阻害剤の評価。上記5種の酵素のうち、20α-HSD、3α-HSD2型およびAKRIB1Oの過剰発現細胞株を用いて、細胞内代謝や過剰発現による癌細胞の増殖作用を指標にする評価系を構築し、上記の阻害剤が細胞レベルで有効であることを明らかにした。 4.抗癌剤耐性:抗癌剤マイトマイシンCに対する耐性獲得株におけるAKRIB10の役割については論文として公表した。他のタイプの抗癌剤(自金製剤、フルオロウラシル)に対する耐駐細胞の解析を継続している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究項目の「結晶化と高次構造解析」において、20α-HSDの結晶構造は解析できたが、3α-HSD2型およびAKRIB10と阻害剤の共結晶は得られず、解析に至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
以下の予期しない発見があったので、追加実施する。 (1)阻害剤の探索・創製:17α-HSDとAKRIB10それぞれの新規構造の阻害剤として、シンナムエステル誘導体とジフェニル化合物を発見したので、これらをリードとして両酵素のより特異的でかつ強力な阻害剤を設計・合成する。 (2)結晶化と高次構造解析:AKRIB10と阻害剤カフェ酸エステル複合体の結晶が得られたので、この条件で他の阻害誘導体との複合体の結晶化し、高次構造を解析する。
|
Research Products
(9 results)