2011 Fiscal Year Annual Research Report
イミノ糖C-グリコシドミミックの創製を基盤とする創薬科学研究
Project/Area Number |
22590104
|
Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
高畑 廣紀 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (00109109)
|
Keywords | イミノ糖 / C-グリコシドミミック / 糖尿病 / リソソーム蓄積症 / α-グリコシダーゼ阻害 / β-グリコシダーゼ阻害 |
Research Abstract |
アノマー炭素上にアルキル鎖を有するイミノ糖はN-アルキルイミノ糖と同様にアルキル鎖部の設計によってグリコシダーゼおよびグリコシルトランスフェラーゼ活性能と選択性の制御の可能性があることから、ピラノース体に比して殆ど研究されていないフラノース体を設計し、直鎖型1-アルキルアラビノイミノフラノース(IAIFD)を構築したところ、L型に強力なα-グルコシダーゼ阻害活性(市販の医薬品のボグリボース、アカルボース、ミグリトールと同等あるいはそれ以上)が見出されたので、今年度は1-アルキル基を直鎖から、分岐鎖、芳香族基さらに各種官能基を有する1-置換アラビノイミノフラノースを合成した。α-グルコシダーゼ阻害を検討したところ、直鎖アルキル型1AIFDと同等のα-グルコシダーゼ(マルターゼ)阻害活性を有する化合物を見出したが、スクラーゼに対する阻害活性は及ばなかった。特に、ヒドロキシ基を有するアラビノフラノースは活性が低下することがわかった。次に、L型1AIFDの中で最も強力α-グルコシダーゼ阻害活性を有する1-ブチル体とマルターゼとのドッキングシュミレーションを行った所、極めて有効に活性ポケットにはまるのに対して、活性のないD型はブチル基がぶつかりポケットにうまくはまらないことが判明した。またドッキンシュミレーションの結果ミグリトールと作用機序が似ていることがわかった。D型のイソファゴミンは強力なβ-グリコシダーゼ阻害活性を有するが、その立体異性体は活性が低下することから今回それらのドッキングシュミレーションとIFD計算を行ったところ、活性とそれらの理論計算に良い相関関係があることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イミノ糖C-グリコシドミミック体である1-置換アラビノイミノフラノースの合成法を確立すると共に、そのエナンチオマー間におけるグリコシダーゼ阻害に対する大きな活性差があることを見いだした。さらに、それらの作用機序の差に対してもドッキングシュミレーションを行うことで理解できた。中に市販のα-グルコシダーゼ阻害剤を凌駕する化合物を見いだすことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
共同研究からまだプレリミナリーな結果ではあるが市販のα-グルコシダーゼ阻害剤の副作用を克服する作用が報告されたので、さらに臨床的なデータを検討する。阻害活性に対する芳香族置換基の電子的要請はどうであるか検討を加えるために、電子過剰体と電子不足体を合成して阻害活性を測る。
|