2011 Fiscal Year Annual Research Report
PKCetaを分子標的とした新規抗炎症治療法の開発
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22590105
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
大場 基 昭和大学, 腫瘍分子生物学研究所, 講師 (70297018)
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Keywords | 分子標的薬 / PKC / 炎症 |
Research Abstract |
RNA干渉(RNAi)を利用した遺伝子発現抑制による治療法を検討した。PKCeta内の適切な配列を選択し、shRNA発現レンチウイルスベクターを構築した。培養ヒト及びマウスケラチノサイトにおいて、PKCetaの蛋白質発現が抑制されることを確認した。このベクターをハプテン誘導性にアトピー性様皮疹を生じるマウス:NC/Ngaマウス皮膚に導入し、その効果を1)臨床的診断(掻痒行動、皮膚症状スコアリング:Leungのclinical skin condition scoreを使用)、2)免疫学的診断(血漿IgE値、好酸球数)、3)病理学的診断(HE染色、LTB染色、各種マーカー抗原を利用した白血球、肥満細胞等の免疫組織染色)の観点から検討した。しかしながら、レンチウイルスベクターの皮膚への感染・浸透性はアデノウイルスベクターに比べて非常に低く、効果的なin vivoでの遺伝子発現抑制が認められなかった。また、レンチウイルスは染色体への挿入が生じるため、臨床上・倫理上の問題も伴う。従って、レンチウイルスベクターによる抗炎症療法の試みは中止した。 次にPKCeta siRNAを用いた遺伝子発現抑制効果を検討した。複数の動物埋め込み用drug delivery基材(メドジェル粒P19,E50等)にsiRNAを加え、皮膚患部へ接触させることでsiRNA導入を試みた。しかしながら、その効果は限定的であった。この今後、アテロコラーゲンを利用したsiRNA導入基材を用いて、同様な実験を検討する。またPKCetaの偽基質配列(pseudosubstrate)ペプチドの効果を併せて検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最重要ポイントは、PKCeta遺伝子の発現抑制によりアトピー様皮膚炎の症状が減弱する、即ち分子標的としてPKCeta遺伝子が適切であることを証明することであり、それは達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果はウイルスベクターを用いた発現抑制方法であり、現実的な治療へは適応しがたい。そこで、今後はより臨床応用が可能な方法を探索し、検討することを目標とする。
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