2010 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造変換による動的機能制御を指向した新規芳香族アミドの創製
Project/Area Number |
22590106
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡本 巌 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (80307074)
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Keywords | 芳香族アミド / 環境応答 / 機能性分子 / 立体構造 / 酸化還元 |
Research Abstract |
当初の計画に基づき、基本構造となる酸化還元応答型N-フェニル-N-キノニル芳香族アミド化合物を合成した。まずPd触媒を用いたカップリングにより、N-フェニル-N-ジメトキシフェニルアミンを合成することで、多岐にわたるカルボン酸部分との有効な合成が可能となった。これらのジメトキシ型アミドを脱アルキル化してヒドロキノン体とした後、酸化鉄により酸化することでキノン体を合成するルートが確立できた。 溶液中の構造は、低温にて^1H-NMRを測定することで明らかにした。還元型アミドについては、cis-trans相互変換の活性化エネルギーは10-20kcal/mo1と見積もられ、そのため-60から-90℃程度において2種のコンフォマーが分離測定できた。一方で酸化型アミドは活性化エネルギーがより低く、こういった測定ではシグナルが分離しない物が多かった。これらについては、NOE測定を行うことが可能であり、また化学シフトの分離傾向から区別することにより、主構造を見いだすことができた。以上から、これら酸化還元応答型の芳香族アミドにおける、構造優先性の一般的傾向を見いだすことができた。 結晶中の構造については、X線結晶構造解析を依頼することにより、いくつかの物について明らかにすることができた。その結果によると、ほとんどの場合に結晶構造は溶液中の主コンフォマーを反映しており、構造の優先性は一般的なものであると考えられる。 同時にこれらの結晶構造は、低温において溶かした状態から経時変化をNMR測定で観測することで、溶液中の構造を確定する重要な手段となった。
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Research Products
(6 results)