2011 Fiscal Year Annual Research Report
立体構造変換による動的機能制御を指向した新規芳香族アミドの創製
Project/Area Number |
22590106
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
岡本 巌 昭和薬科大学, 薬学部, 准教授 (80307074)
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Keywords | 芳香族アミド / 環境応答 / 機能性分子 / 立体構造 / 酸化還元 |
Research Abstract |
これまで見いだした、酸化還元応答型N-フェニル-N-キノニル芳香族アミド化合物の基本特性に基づき、その適用と一般性を検討した。 報告済みであるアセトアミド誘導体に対して、構造変換に伴う機能応答を念頭に置いた構造展開を目指し、アミド構造のカルボン酸側に種々の構造を有する化合物を合成して、その立体特性を明らかにした。芳香族カルボン酸アミドをはじめとした種々の骨格について明らかにしたが、中でも特に重要であったのは、アセトアミド誘導体に芳香環を導入した形の、ベンジル型アミドへの構造展開である。ベンジル部分をジニトロベンジルとしたもの、およびペンタフルオロベンジルとしたものの立体構造特性を明らかにしたところ、ベンジル部分と、N,N-ジアリール部分との間で相互作用を示すことが見いだされた。即ち、これらも酸化還元反応を外的要因として立体構造変換をおこすが、同時に機能応答の一例として、光学特性の変化を伴っている。これは単なるキノン-ヒドロキノンの変化だけでは説明できず、芳香環同士が空間的な位置関係を変化させることによる応答である。 他のタイプのターゲット分子として計画していた、含ピリジン環型アミドについても進展が見られた。含ピリジン環型アミドは、酸を添加するとピリジン環がプロトン化されて、それによって構造変換が生じる。しかしこの構造変換は、ピリジルアミド単位が分子のどの位置にあるかによって、大きく異なるという特性を見いだした。即ち、末端にピリジン-2-カルボン酸を持つアミドの場合、シス型からトランス型への変換を示す。一方でこの構造単位が分子の内部にある場合は、シス型を保ったままアンチ形からシン型へと変化する。これらの知見により、芳香族アミドの立体構造を外部環境の変化によってコントロールすることができ、機能の制御に導く可能性を示唆することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酸化還元によて駆動する新規アミド化合物の立体特性と適用について、ほぼ統一した知見を見いだしている。またピリジン環を有する新規骨格についても知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる24年度では、新規な骨格への展開よりも、立体特性の上で有用であった二種の骨格について詳細なる構造検討がされるべきである。 ただし芳香環の検討によっていくつかの新規構造単位が得られるので、これらについて関連する立体構造研究が可能である。
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Research Products
(7 results)