2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22590117
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
椛島 力 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (20274673)
|
Keywords | HIV / アプタマー / プロテアーゼ / 阻害剤 / 薬剤耐性 / 変異 / ウイルス / 感染症 |
Research Abstract |
エイズは、HIVによって発症する感染症であり、その治療には、HIVプロテアーゼ(HIV-PR)などの酵素に対する阻害剤を組み合わせた多剤併用療法が行われている。しかし、HIVゲノムは変異を起こしやすいため、HIV感染を完治するまでには至っていない。特に、HIV-PR遺伝子における変異は、薬剤耐性と密接に関係しており、別の観点からの治療薬開発が求められている。 そこで申請者は、エイズの新たな治療薬として、HIV-PRに対する核酸アプタマーの開発を試みた。まず、HIV-PR遺伝子を3種類の発現ベクターに組み込み、大腸菌でHIV-PRを発現させた。これらの大腸菌抽出液を作製し、Ac-SGIFLETSを基質として酵素活性を測定したところ、発現ベクターとしてpMal c2xを用いた場合にのみ、活性が見られた。他の2つのベクターを使用した場合では、酵素活性が検出できなかったことから、HIV-PRの活性発現には、HIV-PRのN末側に、HIVの成熟過程で自己消化される配列(SFSF)を付加する必要があることが分かった。 数種類の基質を用いて、大腸菌で発現させたHIV-PRと、市販のHIV-PRの基質特異性を比較したところ、両者は同じ基質特異性を示した。また、抗HIV-PR抗体を用いた免疫検出においても、両者は同じように検出できたことから、大腸菌で発現させたHIV-PRは、野生型の酵素と同様の性質を保持していることが確認できた。 HIV-PRのアプタマーを開発するにあたり、まず、HIV-PRの代わりに、HIV-PRとほぼ分子量が等しいヘモグロビンを用いて、10^6種類の一本鎖DNAの中からヘモグロビンに親和性を持つ核酸が得られるか試みた。その結果・相同性のある配列を持つ数種類のDNAが得られた。今後、HIV-PRに親和性を持つ核酸のスクリーニングを行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、野生型HIV-PRと同等の性質を示す組換えHIV-PRの大腸菌中での発現に成功しており、また、多種類の一本鎖DNAからなるライブラリーの中から、標的分子に対して親和性を持つ核酸のスクリーニングも成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヘモグロビンのモデル実験から、アプタマーのスクリーニングには、大量のHIV-PRが必要と考えられる。現在作製している組換えHIV-PRは、タグタンパク質などが付加されていないため、いくつかのカラムを組み合わせて精製を行う必要がある。そこで、まず、大量培養を行い、単一のHIV-PRをmg単位で精製する予定である。この精製したHIV-PRをもとに、核酸ライブラリーの中から親和性を持つ核酸のスクリーニングを行う予定である。
|
Research Products
(18 results)