2010 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の予防・治療におけるプロバイオティクスの臨床的有用性の評価
Project/Area Number |
22590122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 美貴子 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (90396391)
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Keywords | プロバイオティクス / 脂質異常症治療薬 / 消化管 / 薬物代謝酵素 / 薬物輸送担体 / コレステロール |
Research Abstract |
生活習慣病の予防・治療におけるプロバイオティクスの臨床的意義を明確にする事に主眼をおき、研究を遂行している。初年度は、ヒト消化管のモデルとして3週間培養したCaco-2細胞を用い、"消化管での薬物動態、コレステロール取り込みに対するプロバイオティクスの影響"について評価を行った。プロバイオティクスとして、代表的な腸内細菌であるLactobacillus属のLactobacillus casei(L.casei)と、その整腸作用により"特定保健用食品"として市販されているBifidobacterium属の菌種を用いた。 1消化管の薬物代謝酵素・薬物輸送担に対する影響評価 Caco-2細胞に市販菌種を暴露し、mRNAを抽出し、リアルタイムPCR法にて薬物代謝酵素・薬物輸送担遺伝子の発現量を測定した。酵素活性および機能は、特異的基質を用いて評価した。その結果、数種のCYP、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)および硫酸転移酵素(SULT)の遺伝子発現および活性に影響が認められた。 2消化管のコレステロール取り込みに対する影響評価 Caco-2細胞にL.caseiおよび市販菌種を暴露し、コレステロールの輸送および代謝に関与する遺伝子発現の変化をリアルタイムPCR法で評価した。その結果、市販菌種には、Niemann-Pick C1 like 1 Protein((NPC1L1)遺伝子発現の低下を始め、コレステロールの輸送および代謝関連遺伝子発現に対する影響が認められた。一方、L.casei暴露による、これら遺伝子発現に対する有意な変化は認められなかった。 3薬物動態に対する影響評価 脂質異常症治療薬であるスタチンおよびその活性代謝物のLC/MSによる定量法を確立し、これら薬物動態に対するプロバイオティクスの影響を評価中である。 次年度以降も本研究を継続し、生活習慣病に対するプロバイオティクスの有用性や、その制御機構の解明、さらに薬物療法の効率化等に関する評価を行う。
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Research Products
(3 results)