2012 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の予防・治療におけるプロバイオティクスの臨床的有用性の評価
Project/Area Number |
22590122
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清水 美貴子 慶應義塾大学, 薬学部, 講師 (90396391)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | プロバイオティクス / 消化管 / 薬物輸送担体 / 脂質異常症 / コレステロール |
Research Abstract |
1. 消化管でのコレステロール取り込みに対する影響と血清脂質濃度低下効果のメカニズム解析: ヒト小腸モデルとして3週間培養したCaco-2細胞、プロバイオティクスとして、昨年度効果が認められたBifidobacterium属の市販菌種を用いた。市販菌種の培養液および培養ろ液の暴露により、コレステロール(Cho)吸収トランスポーターの遺伝子発現およびタンパク発現量が有意に減少した。また、それに伴ったCho代謝・合成に関与する遺伝子やタンパク質の発現量の変化が認められた。さらにChoの細胞内取り込みの減少と、菌体へのChoの吸着が認められた。これらの事から、市販菌種が産生する物質がヒト小腸でのChoの吸収を阻害することで、血清脂質濃度を低下させる可能性が示唆された。 2. 消化管での薬物動態への影響:Caco-2細胞を用いた検討の結果、細胞内および培地中のスタチン濃度に変化が認められた。これは、プロバイオティクスが、スタチンの動態に関わる薬物代謝酵素および薬物輸送担体へ影響を与えた結果である事が示唆された。 3. ヒトでの脂質異常症治療薬とプロバイオティクスの相互作用試験:生体試料中の脂質異常症治療薬およびその活性代謝物の定量法をLC/MS/MSにて検討中である。 4. 医療経済学的効果の検討: 日本人の冠動脈疾患(Coronary Heart Disease : CHD)予防における、プロバイオティクス摂取の医療経済学的な社会的意義を明らかにするために、関連する臨床試験論文の収集、評価を行い、経済分析モデルの構築を行った。次年度以降、本モデルの妥当性を検討し、医療経済分析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトでの脂質異常症治療薬とプロバイオティクスの相互作用試験のための、生体試料中の脂質異常症薬および活性代謝物の定量法の確立が遅れている。(本年度は、学部内共同機器であるLC/MS/MSが2台となったが、新規導入機種の立ち上げに時間がかかった事、利用者が多く、十分な測定時間が確保できなかった事が理由として挙げられる。) 一方で、医療経済学的効果の検討を前倒しで開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果を踏まえ、ヒト消化管でのプロバイオティクスの作用が、脂質異常症治療薬の動態や、血清脂質濃度低下作用に有益な影響を与えるのか否かについて、in vitroに加えin vivoで検証する。学内共通機器であるLC/MS/MSについては、測定する機会が得られるように最大限の努力を行う。また、医療経済学的効果についても検討する。
|
Research Products
(3 results)