2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素発がんの新規代謝的活性化機構の解明-硫黄転移酵素の関わる代謝的活性化-
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22590123
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 教授 (50182572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 孝一 日本大学, 薬学部, 准教授 (60246931)
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Keywords | ジメチルヒ素 / チオヒ素 / 代謝活性化 / HPLC-ICP-MS |
Research Abstract |
ヒ素代謝物の中で強い毒性が疑われているジメチルモノチオアルシン酸[(CH_3)_2As(S)OH]に関して、ジメチルアルシン酸[(CH_3)_2As(S)OH]からの代謝生成機構および毒性発現機構の一端をこれまでの本研究で明らかにしてきた。しかしながら、ジメチルモノチオアルシン酸の細胞毒性および染色体異常に関する研究の詳細は明らかではない。そこで本年度は、ジメチルモノチオアルシン酸の代謝活性化ならびに毒性発現機序を検討した。 無水物は既報(Fricke et a1.,Chem Res Toxico 1,2005)に従い合成し、供試化合物として用いた。ジメチルモノチオアルシン酸の毒性はChinese halnster V79培養細胞を用いて、WST-1法による細胞毒性試験、染色体異常試験、突然変異原性試験により評価した。さらに、ジメチルモノチオアルシン酸曝露したV79細胞培養液中の代謝物をHPLC-ICP-MSならびにFID-GCを用いて分析した。 V79細胞を用いた細胞毒性試験ならびに染色体異常試験において、ジメチルモノチオアルシン酸の毒性はGSHにより増強され、GC分析により硫化水素イオンがその代謝物として検出された。一方、これまでに、ヒ素化合物は細菌を用いた復帰変異原性に対して陰性と結論づけられてきたが、ジメチルモノチオアルシン酸はS-9(+)で有意な陽性結果を示した。加えて、V79細胞の培養液からは未知の含硫ヒ素化合物が検出された。以上の結果から、ジメチルモノチオアルシン酸の遺伝毒性は代謝過程で生成する3価ジメチルヒ素のみならず未知の含硫ヒ素化合物が関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に推移している。ジメチルモノチオアルシン酸の細胞毒性において硫化水素の寄与、遺伝毒性において未知ヒ素化合物の可能性を示したことは意義深い。
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Strategy for Future Research Activity |
ジメチルモノチオアルシン酸の未知代謝物の化学形態を明らかにするとともに、遺伝毒性の有無を明らかにする。
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Research Products
(1 results)