2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素発がんの新規代謝的活性化機構の解明-硫黄転移酵素の関わる代謝的活性化-
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22590123
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 教授 (50182572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 孝一 日本大学, 薬学部, 准教授 (60246931)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ジメチルアルシン酸 / ジメチルチオアルシン酸 / 硫黄転移酵素 |
Research Abstract |
ヒ素発がん機構を解明する上で、近年、無機ヒ素以外にも、無機ヒ素のメチル化代謝過程で生ずる主要代謝物であるジメチルアルシン酸、またはそれ以降の中間代謝物であるジメチル亜ヒ酸ならびにジメチル亜ヒ酸―グルタチオン抱合体など3価ジメチルヒ素の役割が注目されてきた。本研究では、これら中間代謝物の更なる代謝活性化機構を明らかにし、発がん機序におけるそれらの役割を明らかにすることを目的とする。 本年度は毒性の強いジメチルヒ素中間代謝物であるジメチル亜ヒ酸からジメチルチオアルシン酸の代謝生成に関して、硫黄転移酵素、特に青酸イオンに硫黄を添加してチオシアン酸イオンに変換するRhodaneseに着目した詳細な検討を行った。その結果、ジメチル亜ヒ酸の毒性、ジメチルチオアルシン酸のSH基に依存した毒性発現を考察した結果、in vitro生成機序を明らかにし、かつ毒性発現において、ジメチルチオアルシン酸の代謝生成はジメチル亜ヒ酸の毒性回避機構と考えられたが、このチオアルシン酸は銅イオンや鉄イオンなど生体微量元素の中でも硫黄原子に親和性の高い金属の存在下では容易にジメチル亜ヒ酸を経由してジメチルアルシン酸に変換することから、この毒性回避は一時避機構にすぎず、一方では、ジメチルチオアルシン酸の代謝過程でジメチル亜ヒ酸や未同定ながらも揮発性の高い、かつ強い毒性を有することが予想されるヒ素化合物の存在を示す結果が得られた。以上のことから、IARCにおいてgroup2Bに分類されている無機ヒ素の主要代謝物のジメチルアルシン酸以降の代謝過程は単なる酸化還元反応だけではなく、硫黄転移を伴い、かつ必須微量元素との相互作用により毒性発現が大きく修飾されることを見いだし、ヒ素発がんにおける解毒機序ならびに代謝活性化機構の研究に新たな一石を投じる結果が得られた。本研究成果は、現在投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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