2011 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脳内自己刺激行動を用いた精神疾患治療薬における意欲改善効果の評価
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22590135
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
千堂 年昭 岡山大学, 大学病院, 教授 (30437561)
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Keywords | 脳内自己刺激行動 / GBR12909 / 強制水泳試験 / 条件付け場所嗜好行動 |
Research Abstract |
これまでの検討により、脳内自己刺激行動のRun-Way法において選択的ドーパミン取込み阻害薬であるGBR12909は走行スピード(即ち本動物モデルにおける動機付け)の低下を改善させることが明らかとなった。本年度は、GBR12909による走行スピードの改善作用に対するドーパミンD2受容体選択的拮抗薬であるRacloprideの影響を検討し、さらに動機付けを評価する本動物モデル行動薬理学的特性を明らかにするため、汎用されている他の情動関連動物モデルにおけるGBR12909および中枢神経作用薬の作用を比較検討した。 その結果、GBR12909による走行スピードの上昇は無作用量Racloprideの前処置により有意に拮抗された。したがって、GBR12909による走行スピードの上昇にはドーパミン受容体サブタイプのうち、D2受容体が主に関与する可能性が示唆された。 また、意欲や情動に関連深い精神疾患である、うつ病や薬物依存の評価系動物モデルである強制水泳試験ならびに条件付け場所嗜好行動試験を用いてGBR12909および各モデルにおける標準薬の薬効を評価した結果、以下の内容が明らかとなった。強制水泳試験ではGBR12909および抗うつ薬として汎用されているImpramineはともに不動時間を短縮し、抗うつ様効果を示した。これまでの検討結果をあわせて考えると、本実験モデルは抗うつ様作用のうち意欲の改善作用を特に評価できるモデルであると考えられた。さらに、嗜好性薬物であるNicotineを比較対象とした場所嗜好性試験においてGBR12909は場所嗜好行動を惹起しなかった。したがって、脳内自己刺激行動は依存性薬物の評価にも用いられるが、本実験モデルにおける動機付け行動には依存性行動と異なるメカニズムの関与が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動機付けに関わる神経機構のうち、ドーパミン神経系の機能について明らかにすることができた。さらに、うつ病や薬物依存の評価系行動薬理学モデルとの表現形の違いを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本動物モデルに対する脳内神経メカニズムの関与をより詳細に解明するため、組織学的および生化学的検討を行う。これまでの検討で、ドーパミン神経の関与が明らかとなっていることから、ドーパミン神経の投射領域である中脳辺縁系および中脳皮質系、黒質-線状体系に属する、各神経領域の活性化の有無について検討する。
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Research Products
(4 results)