2012 Fiscal Year Annual Research Report
外来がん化学療法で利用可能なパクリタキセルの有害事象予測因子の探索
Project/Area Number |
22590138
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
賀川 義之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (90397505)
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Project Period (FY) |
2010-10-20 – 2013-03-31
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Keywords | がん化学療法 / パクリタキセル / 好中球減少症 |
Research Abstract |
がん化学療法においては抗がん剤投与に伴う有害事象が用量規制因子であり、がんの進展ではなく抗がん剤投与による有害事象によって患者が死に至る場合もある。本研究ではタキサン系抗がん剤であるパクリタキセル(PTX)が好中球減少症などの有害事象を引き起こす因子を、外来がん化学療法の普及を考慮した上で明らかにし、有害事象の発現を防止・軽減することを目的とした。探索する因子のうち、薬物動態パラメータは外来での治療で入手可能なものを優先して用いた。血液中PTX濃度の測定に際し、タンデム型高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)を用いた測定系を新たに構築し、1 ng/mLから10 μg/mLの血中濃度範囲内で良好な測定精度を達成した。臨床研究では最終解析に必要な目標症例数に達していないため、これまでに得られている結果を示す。PTX点滴投与終了後1時間の血漿中Total濃度は1~4 μg/mLを、代謝物の6α-hydroxypaclitaxelのTotal濃度は400~2500 ng/mLを示した。各血漿中濃度測定時点での6α-hydroxypaclitaxel/PTXモル濃度比の個体間変動は大きく、4倍以上の差がみられた。PTXの代謝に関与するCYP2C8の遺伝的多型が多く知られているものの日本人において体内動態に有意な影響を示すことは少ない。PTX点滴投与終了早期における6α-hydroxypaclitaxel/PTXモル濃度比の大きな個体間変動は、CYP2C8の遺伝的多型以外に代謝速度に大きく影響する因子の存在を示唆するものである。PTX点滴投与終了早期に主要代謝物への変換速度に大きな差異があると、それ以降の消失過程が変化するため、6α-hydroxypaclitaxel/PTXモル濃度比がPTXの有害事象発現に影響する因子となる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)