2010 Fiscal Year Annual Research Report
スペシャル・ポピュレーションに対する抗がん剤の至適投与量・用量調節指標の探索
Project/Area Number |
22590142
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今村 知世 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (00570954)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川原 祐介 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30179832)
平沢 晃 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (90296658)
|
Keywords | がん / 薬学 / 臨床 / オーダーメイド医療 / PK/PD解析 / スペシャル・ポピュレーション |
Research Abstract |
スペシャル・ポピュレーション(special populations)とは薬物動態(Pharmacokinetics:PK)および薬物感受性(Pharmacodynamics:PD)が一般の患者集団とは異なることが予想される腎機能低下者、肝機能低下者、高齢者、小児、妊婦、授乳婦、肥満者などのことで、わが国での医薬品開発ならびに臨床薬理の領域では「特殊集団」または「特別な背景を有する患者」と訳されている。スペシャル・ポピュレーションに対する薬物療法においては、薬剤の特性に応じて投与量の調節を考慮する必要があるが、がん薬物療法においては各がん種に対しエビデンスに基づく標準治療が存在するため、個々の患者への用量調節すなわち匙加減はエビデンスからの乖離を意味し、治療の有効確率および安全性担保を不確実なものとする。 そこで本研究では、スペシャル・ポピュレーションに対する抗がん剤の至適投与量・用量調節指標を探索することを目的とし、本年度は「ドセタキセル・カルボプラチン併用療法」が施行された進行・再発非小細胞肺がん患者を対象とした臨床試験におけるドセタキセルおよび遊離形カルボプラチンの血漿中濃度から母集団解析法によるPK/PD解析を行った。なお本解析は1996年に谷川原らにより報告(日本癌学会学術総会)された「日本人におけるドセタキセルの母集団薬物動態モデル式」を用い、さらに当時には検討されていなかったCYP3A5遺伝子多型の影響についても検討している。現在、最終的なデータのまとめを行っている段階であり、年齢、腎機能、肝機能などの因子とPKとの関係から、スペシャル・ポピュレーションへの至適投与量の提示を目指している。
|