2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規ヒト血液脳関門細胞株を用いた中枢治療薬の脳移行性予測
Project/Area Number |
22590144
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
出口 芳春 帝京大学, 薬学部, 教授 (40254255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄倉 崇 帝京大学, 薬学部, 准教授 (80326123)
加藤 清香 帝京大学, 薬学部, 助手 (70505940)
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Keywords | 血液脳関門 / ヒト細胞株 / トランスポーター / カチオン性薬物 / 脳移行性 / 輸送特性 / 発現解析 |
Research Abstract |
本研究課題の目的は「ヒト血液脳関門のin vitroモデル細胞を用いて、カチオン性中枢治療薬の血液脳関門輸送機構を解明し、ヒトにおける脳移行性予測法を確立する」ことであった。本年度は、ヒト血液脳関門細胞における既知有機カチオントランスポーターの発現と輸送機能について検討し、以下の成果を得た。 1) 血液脳関門細胞におけるトランスポーター発現解析 ヒト脳毛細血管内皮細胞不死化細胞株(D3細胞)を用い、種々の有機カチオントランスポーター(OCTs, OCTNs, MATEs, ENTs, PMAT, CTLs, CHT, NET, DAT, SERT, VThTrs, VMATs, VACht, NHEs)の遺伝子発現を定量的PCRにて解析した。比較対象としてラット脳毛細血管内皮細胞不死化細胞株(TR-BBB13細胞)でも同様の実験を行った。その結果、D3細胞においてはOCTN1およびOCTN2, PMATの発現が他の有機カチオントランスポーターに比べ高い値を示した。D3細胞での発現量はTR-BBB13細胞に比べて低いものの、発現パターンは両細胞で同様であった。 2) In vitro血液脳関門輸送解析 1)で発現量の高かったOCTN2, PMATについて、それぞれの特異的基質であるL-カルニチンおよび1-methyl-4-phenylpyridinium (MPP^+)を用いて輸送活性を検討した。結果、D3細胞における特異的基質の輸送特性はラットの細胞と同様であり、高い輸送活性を持つことがわかった。 以上の結果から、ヒト血液脳関門のモデル細胞であるD3細胞には有機カチオントランスポーターが発現しており、輸送機能を併せ持つことを明らかにすることができた。これは世界で初めての結果である。
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Research Products
(5 results)