2010 Fiscal Year Annual Research Report
スーパー抗原刺激したヒトリンパ球の増殖と制御性T細胞動態に及ぼす各種抗菌薬の効果
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22590145
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平野 俊彦 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (90173252)
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Keywords | 細菌由来スーパー抗原 / 末梢血単核細胞(PBMC) / 制御性T細胞(T reg) / サイトカイン / マクロライド系抗生物質 / 亜ヒ酸(As203) |
Research Abstract |
細菌由来スーパー原で刺激した核細胞(PBMC)ではIL-2産生量が持続的に亢進しておりその背景にはmitogen-activated protein kinase(MAPK)の異常な活性化が関与している。しかしこのような異常と、PBMC中の制御性T細胞(T reg)率やT reg細胞の活性化マーカー発現量との関連は明らかではない。平成22年度は、T細胞マイトゲンやスーパー抗原で刺激した健常者PBMCにおけるサイトカイン産生量やPBMC中のTreg細胞率に及ぼすマクロライド系抗生物質や亜ヒ酸(As203)の効果を検討をした。in vitroにおいて、T細胞マイトゲンのコンカナバリンAで刺激した健常者PBMCと、S. aureus由来スーパー抗原のTSST-1で刺激した健常者PBMCの増殖は、増殖細胞への[3H]チミジン取り込み量により算定した。T reg細胞のマーカーとなるCD4抗原やCD25抗原、あるいはFOXP3やGITRは、特異的単クローン抗体による細胞染色とフローサイトメトリー法により検討した。また、細胞培養上清中の種々のサイトカイン(IL-2、4、5、10、インターフェロンγ、およびTNF-α)の濃度を、特異的単クローン抗体とフローサイトメトリーを用いたビーズアレイ法により検討した。まず抗原刺激したPBMCを、種々のマクロライド系抗生物質の存在下で96時間培養後、PBMCの増殖率を調べた。10μg/mlのロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、あるいはアジスロマイシンは、コンカナバリンAやTSST-1で刺激した健常者PBMCの増殖を30-70%抑制した。中でもアジスロマイシンの効果は強く、PBMC増殖に対するIC50値は5μg/ml未満であった。アジスロマイシンは5μg/mlで、PBMCからの培養上清中へのIL-2、4、5、10、インターフェロンγおよびTNF-αの放出量を、65-98%抑制した。一方、PBMC中のT reg細胞率に及ぼす種々の薬物の効果を検討したところ、As203が1μMで有意(p<0.05)にT reg細胞率を減少させた。As203は、抗原刺激したPBMCの増殖もほぼ同様の濃度で抑制した。以上平成22年度は、コンカナバリンAやTSST-1で刺激したPBMCの増殖や種々のサイトカイン放出に対し、マクロライド系抗生物質のロキシスロマイシンが強い抑制効果を示すこと、およびAs203がPBMC中のT reg細胞率を減少させることを明らかとした。これらの結果から、マクロライド系抗生物質やAs203が、スーパー抗原刺激したPBMCの増殖やサイトカイン産生を調節し得る可能性を提示した。
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Research Products
(1 results)