2011 Fiscal Year Annual Research Report
難治性皮膚疾患・尋常性乾癬の悪化因子となる皮膚常在微生物の解析に基づく疾患制御
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22590150
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉田 隆 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (10312076)
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Keywords | 尋常性乾癬 / 増悪因子 / 皮膚微生物叢 / 鱗屑 / 疾患制御 |
Research Abstract |
尋常性乾癬は強い掻痒感を伴う自己免疫疾患である。正常な表皮細胞は約30日で垢となって落屑するが、乾癬患者ではこのタンオーバーが癌細胞をも上回る10倍の速度で亢進する。その結果、皮疹の上に厚い銀白色の鱗屑が付着する。患者は掻痒感や熱感のみならず、多量の鱗屑に自己イメージの低下や社会的孤立感に苦しむなど社会活動・人間関係にも大きな影響を及ぼすことが少なくない。ヒトには数千種もの多様な微生物が常在している。通常は無害であるが、この常在微生物フローラのバランスが破綻すると様々な疾患に進展することがある。現在の尋常性乾癬に対する標準的治療薬は、ケラチノサイトに直接あるいは間接的にその増殖亢進抑制を行うビタミンD3やエトレチナートあるいは免疫抑制薬である。乾癬患者皮膚には多量の悪化因子微生物が常在しているため、それを除去することにより、ケラチノサイトへの刺激が抑制され症状の軽減が期待できる。乾癬の免疫学的な病態は、Th1様サイトカイン(IFNγ等)の産生と形質転換成長因子TGFβの発現亢進である。平成22年度に次世代シーケンサーによる網羅的解析からGammaproteobacteria sp.が特異的に検出されたことから、当該微生物もTh1様サイトカイン応答を誘導するか評価した。 表皮ケラチノサイトを培養後、当該微生物を用いて抗原刺激を行い、培養上清に分泌された各種サイトカインについて、サイトカイン抗体アレイを用いて一斉検出した(IL,TNF等の約40種)。TGFβは特異抗体を用いて検出した。その結果、当該微生物はTh1様サイトカン産生を有意に誘導した。このことは、宿主側の病態に加えて、乾癬患者皮膚特異的微生物も増悪に関与している可能性を示す。従って、増悪微生物の制御は乾癬の治療あるいは症状の軽減に寄与することができると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、乾癬患者特異的微生物を見いだし、それが病態の増悪に関与しているかどうかを免疫学的指標を用いて検討することであった。全ての試験は研究計画通り実施できた。また平成24年度の計画も予定通り実施できる結果を得られたことから、自己評価を「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、悪化因子微生物の制御方法について検討する。1.抗菌薬のスクリーニンク悪化因子微生物に対する感受性を広く調へる。乾癬患者の表皮細胞のタンオーハーは極端に早いため、効果発現時間は重要てある。そこて、time-kill法によりin vitro pharmacodynamicsを評価する。2.診断を目的とした一斉定量検出システム表皮細胞のタンオーハーを考えると悪化因子微生物の制御には外用治療か中心となる。そこてより抗菌薬の効果を発揮させるために、菌量の定量は重要てある。感度・特異性の点から微生物rRNAを標的としたreal-time PCRによる迅速定量検出系を構築する。以上、3年間て尋常性乾癬患者皮膚に常在する悪化因子微生物をケノム解析および免疫学的指標を用いて抽出・選択し、これを標的とした制御系を構築することかてきる。
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Research Products
(22 results)