2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬物トランスポータと転写因子を標的とする抗がん剤耐性克服薬の開発に関する研究
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22590151
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
鍋倉 智裕 新潟薬科大学, 薬学部, 准教授 (90298993)
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Keywords | 薬学 / 薬剤反応性 / 食品 / 癌 / トランスポータ |
Research Abstract |
P-糖タンパク質(MDR1/ABCB1)は抗がん剤多剤耐性がん細胞膜から発見された最初の薬物トランスポータである。P-糖タンパク質は2つのATP結合部位を持つ細胞膜12回貫通型の膜蛋白質であり、抗がん剤によりその発現が誘導される。P-糖タンパク質は、構造の異なる様々な抗がん剤(ビンブラスチンやパクリタキセルなど)を細胞外へ能動的に排出し細胞内濃度を低下させ、抗がん剤多剤耐性を引き起こす。 転写因子Nuclear Factor-kappaB(NF-κB)は生存・増殖など細胞の基本機能の維持に極めて重要な役割を果たし、近年研究が著しい進展をとげている。サイトカインやリポ多糖(LPS)、抗がん剤など様々なストレスの刺激を受け、NF-κBは核内に移行し標的遺伝子の発現を誘導する。NF-κBの標的には抗アポトーシス蛋白質があり、カスパーゼ経路を阻害し細胞死を抑制する。つまり、抗がん剤(ビンブラスチンやパクリタキセルなど)によるNF-κB活性化が、抗がん剤耐性を引き起こす。 より効果的で副作用の少ないがん化学療法を実施するため、薬物トランスポータ(P-糖タンパク質)と転写因子NF-κBの両者を阻害し、抗がん剤耐性を克服する化合物を天然物の中から探索した。 NF-κB応答配列がルシフェラーゼ遺伝子上流に組み込まれたレポータコンストラクトおよびヒトP-糖タンパク質高発現大腸がん細胞HCT-15を用いて検討したところ、caffeic acid phenetyl ester(CAPE)、リコカルコンA、アナカルド酸、マグノロール、ホノキオールがP-糖タンパク質と転写因子NF-κBの両者を阻害することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたとおり、多数の天然物を用いて検討したところ、P-糖タンパク質と転写因子NF-κBの両者を阻害する化合物をその中から見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
抗がん剤によって薬物トランスポータであるP-糖タンパク質の遺伝子発現が誘導されることが知られている。当初予定していたとおり、このP-糖タンパク質発現誘導と転写因子NF-κBの関連について、さらに転写因子NF-κB阻害天然物のP-糖タンパク質発現誘導に及ぼす影響について、さらに検討を進めていく。
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Research Products
(1 results)