2012 Fiscal Year Annual Research Report
薬物トランスポータと転写因子を標的とする抗がん剤耐性克服薬の開発に関する研究
Project/Area Number |
22590151
|
Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
鍋倉 智裕 愛知学院大学, 薬学部, 教授 (90298993)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 薬学 / 薬剤反応性 / 食品 / 癌 / トランスポータ |
Research Abstract |
P-糖タンパク質(MDR1/ABCB1)は抗がん剤多剤耐性がん細胞膜から発見された最初の薬物トランスポータである。P-糖タンパク質は2つのATP結合部位を持つ細胞膜12回貫通型の膜蛋白質であり、抗がん剤によりその発現が誘導される。P-糖タンパク質は、構造の異なる様々な抗がん剤(ビンブラスチンやパクリタキセルなど)を細胞外へ能動的に排出し細胞内濃度を低下させ、抗がん剤多剤耐性を引き起こす。 転写因子 Nuclear Factor-kappaB (NF-κB)は生存・増殖など細胞の基本機能の維持に極めて重要な役割を果たし、近年研究が著しい進展をとげている。サイトカインやリポ多糖(LPS)、抗がん剤など様々なストレスの刺激を受け、NF-κBは核内に移行し標的遺伝子の発現を誘導する。NF-κBの標的には抗アポトーシス蛋白質があり、カスパーゼ経路を阻害し細胞死を抑制する。つまり、抗がん剤(ビンブラスチンやパクリタキセルなど)によるNF-κB活性化が、抗がん剤耐性を引き起こす。 ヒト大腸がん細胞HCT-15を用いて検討したところ、NF-κB活性化を阻害する天然物 caffeic acid phenetyl ester (CAPE)、epigallocatechin gallate (EGCG)、クルクミン、カプサイシン、アナカルド酸、リコカルコンA、マグノロール、ホノキオールがP-糖タンパク質による抗がん剤排出を抑制し、抗がん剤多剤耐性の克服作用を示した。さらに、ビンブラスチンによるP-糖タンパク質発現誘導はCAPE、EGCG、クルクミン、カプサイシン、アナカルド酸によって抑制された。P-糖タンパク質の機能・発現とNF-κB活性化の両者を阻害するこれら天然物は、より効果的で副作用の少ないがん化学療法を実施するための新規抗がん剤耐性克服薬の開発に有用と考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(2 results)