2010 Fiscal Year Annual Research Report
経口投与製剤の臨床薬物動態予測のためのファーマコメトリクス手法の構築
Project/Area Number |
22590153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
矢野 義孝 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (60437241)
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Keywords | 薬学 / 薬物動態学 / 臨床薬理学 / ポピュレーション解析 / 臨床薬物動態 / 予測分布 |
Research Abstract |
本研究では、経口投与製剤の臨床薬物動態の予測を目的として、薬物の体内動態研究におけるin vitro研究や動物やヒトにおける動態評価研究の成果を文献収集により整理し、種々の薬物動態パラメータに対してメタ解析を実施する。その手順は、(i) 薬物動態パラメータの非臨床と臨床における相関性の評価、(ii) モデルによる血中濃度推移の予測、に分けられる。2010年度は解析に先立ち文献データの収集に努めるとともに、相関性評価のための重回帰分析手法とそのプログラムを整備し、汎用性を考慮して交互作用項を含めた重回帰分析および部分最小二乗法(PLS)採用することとした。予測モデルの構築に関しては、通常の推移予測研究では平均値や最頻値の描画に留まっているが、本研究では予測分布の信頼区間を描画することを目的としており、予測分布の信頼区間描画方法について検討を行った。現在ポピュレーションモデルの評価等に利用されている方法は誤差分布に正規分布を仮定してその95%対称区間を算出するものであるが、構造モデルや変動誤差モデルの種類によっては必ずしも予測分布が対称とはならない場合もある。そこでHighest Posterior Region(HPD)と称されている区間推定法の有用性に関する検討を行った。実際に臨床試験で得られた血中濃度データに対し般的なポピュレーション解析を適用し、さらにモンテカルロ法により予測分布を作成した後HPD法の定義に基づいて信頼区間を得た。その結果、正規分布仮定では十分に説明できなかった実測値の分布をHPD法により説明することができHPD法の有用性が示唆された。このことは、本研究の目的である予測分布の描画だけでなくVisual Predictive Checkなどのポピュレーション解析結果の評価法への新しい提案にもつながるものである。
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