2010 Fiscal Year Annual Research Report
疾患による免疫系の活性化が肝薬物代謝酵素の機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
22590159
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
九川 文彦 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (90205063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 淳一 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (90218131)
藤野 秀樹 兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (90510975)
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Keywords | 医療薬剤学 / 肝薬物代謝 / 免疫系賦活化 / 細菌感染 / I型アレルギー |
Research Abstract |
本研究は、感染症や炎症による免疫系の活性化が薬物代謝能に及ぼす影響の解明を目的としている。平成22年度は、マウス薬物代謝酵素遺伝子群の発現制御に、シグナル伝達因子であるNF-κBが関与しているか否かの検討を主に行った。薬物代謝酵素にはヒトCYP3A4のマウスオルソログであるCyp3A11を中心に、1a2, 2b10, 2C29, 2C55を選んだ。その結果、リポポリサッカライド投与マウスの肝臓では、Cyp2b10以外のCyp3a11をはじめとする多くの薬物代謝酵素遺伝子の発現抑制が認められた。さらに、NF-κBにより転写活性化されるIL-1βやTNFαの発現量を定量したところ、上述したCYP遺伝子群の発現の変動と相関することが明らかとなった。また、I型アレルギーモデルマウス肝臓では、IL-1βやTNFαの発現が増加しているにも関わらず、Cyp3a11の発現には変動が認められなかった。一方、Cyp2b10ではその発現量が増加し、これはアナフィラキシーショック後、7、30、180分後まで経時的に上昇していた。以上のことから、免疫系の賦活化経路の違いによりCyp遺伝子の発現変動パターンが異なることが示唆された。 次に、これらの転写調節機構を解明するため、NF-κBと相互作用する未知タンパク質の同定を行った(平成23年にかけて進行中)。まず最初に、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)融合p65(NF-κBのサブユニット)発現ベクターを作製した。平成23年度は、このベクターを大腸菌で発現させ、GST融合-目的タンパク質の分離・精製を行う。ついで、リポポリサッカライド投与マウス及び。型アレルギーモデルマウスの肝臓ホモジネートサンプルを用いたGST-プルダウンアッセイを行うことにより、NF-κBと相互作用する未知因子を同定し、両モデルマウス間での差を解析する。
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Research Products
(1 results)