2011 Fiscal Year Annual Research Report
血小板減少症治療薬インターロイキン-11を用いた有効な心不全発症予防療法の確立
Project/Area Number |
22590160
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 真貴子 兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (70461168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東 純一 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30144463)
藤尾 慈 大阪大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20359839)
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Keywords | サイトカイン / 心不全 / インターロイキン-11(IL-11) / 虚血・再灌流傷害 / STAT3 |
Research Abstract |
Interleukin(IL)-6関連サイトカインは心筋組織傷害後の修復・再生において重要な役割を演じているが、それらの多くは全身性に炎症反応を誘発することが知られており、臨床応用するのが難しいと考えられる。IL-6関連サイトカインの中のIL-11は、血小板減少症治療薬として米国で認可され、既に臨床応用されていることより、本研究では、IL-11の心不全発症予防薬としての臨床応用の可能性を検討するため、サイトカインによる心筋における内因性の保護・修復・再生機構を賦活化することによる新たな心不全発症予防戦略の確立を目的とする。特に、臨床応用を念頭にしていることより、大型動物であるイヌ(ビーグル犬)の心筋虚血・再灌流傷害モデルを用い、以下について検討した。 1.組織学的評価:虚血(90分)後、再灌流直前にIL-11投与(8μg/Kg)、24時間後に心臓摘出、組織切片作成し、Evans Blue染色、TTC染色、TUNEL染色を行い、 2.虚血・再灌流傷害による梗塞領域に対するIL-11の効果を検討した。その結果、IL-11投与群ではコントロール(PBS投与)群に比べ梗塞領域および細胞死の割合が有意に抑制されていることを確認した。 3.遺伝子発現解析:上記同様にIL-11投与24時間後、摘出した心臓の一部を遺伝子解析に用いた。細胞死に関与するbcl-2 mRNAおよびたんぱくの発現がIL-11によって上昇していることを確認した。 以上のことより、IL-11が心筋細胞死を抑制し、心筋組織の保護・修復促進作用を有する可能性を示唆し、本研究によって心不全発症予防薬としてのIL-11の臨床応用の可能性を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題研究は、IL-11の心不全発症予防薬としての臨床応用の可能性を検討するための基盤研究として進めているものであり、現段階までに、虚血性心筋梗塞モデルマウスおよびイヌでのデータ解析を行い、成果を得てきた。これらのことは、今後、IL-11の臨床研究のためのプロトコール作成の基盤となり、新たな心不全発症予防薬の可能性を提示するための目標を達成すべく進んでいることより、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、臨床研究のためのプロトコール作成、および、心筋梗塞患者におけるIL-11およびその他のサイトカインの動態学的解析法の確立を加え、心不全発症予防薬としてのIL-11の安全かつ有効な投与治療計画のための基礎研究を引き続き行う。
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