2011 Fiscal Year Annual Research Report
血液脳関門病態を予測するバイオメーカープロファイル法の開発
Project/Area Number |
22590163
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
首藤 英樹 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60412574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
道具 伸也 福岡大学, 薬学部, 准教授 (60399186)
高田 芙友子 福岡大学, 薬学部, 助教 (70412575)
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Keywords | 血液脳関門 / 中枢性副作用 / バイオマーカー / データーマイニング / オーダーメイド医療 |
Research Abstract |
血液脳関門の病変化は薬物の脳移行動態に密接に関連している。しかし、病変化を検出しうる生体での血液脳関門機能評価法はない。血液脳関門は循環血中の様々な生理活性物質(血液脳関門バイオマーカー)により正負の機能調節を受けている。バイオマーカーによる修飾を統合した表現型として血液脳関門が機能しているので、そのプロファイル法の開発が血液脳関門機能評価の有力な手段となりうる。本研究では、血液脳関門機能を修飾するバイオマーカーの網羅的解析を行い、データマイニング技術によって血液脳関門病態を検出可能なプロファイル法構築を目指す。 昨年度は、いくつかの炎症性サイトカインが血液脳関門機能を低下させることを明らかにした。本年度は、血液脳関門機能調節細胞である脳ペリサイトおよび脳内免疫担当細胞であるミクログリアにおける22種類の炎症性サイトカイン産生能について比較検討した。炎症誘発因子として血液脳関門機能を低下させるTNF-αを用いた。TNF-α刺激により脳ペリサイトおよびミクログリアともMCP-1,MIP-1α,IL-6,GRO/KC,RANTESなどのケモカインが大量に産生されることが明らかになった。実際、これらケモカイン産生量は、ミクログリアと比較して脳ペリサイトにおいて約3-10倍多かった。これらの結果は、炎症性刺激に対しては免疫担当細胞であるミクログリアよりも脳ペリサイトの感受性が特段に高いことを示している。脳ペリサイトは血液脳関門の実体である脳血管内皮細胞に密着し存在していることから、血液脳関門病変化を惹き起す起因細胞である可能性がある。従って、脳ペリサイト産生内因性物質、特に血液脳関門機能低下因子、が血液脳関門バイオマーカーの候補物質と挙げられるかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
血液脳関門病変化を惹き起す生理活性物質を明らかにするため、血液脳関門機能調節細胞からの炎症性サイトカイン産生能について検討した。本年度は、脳ペリサイトおよびミクログリアから産生される数種類のケモカインを血液脳関門機能低下因子候補として列挙できたため、研究はおおむね順調に進展していると評価することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
血液脳関門病変化モデル動物を用いて、血液中および脳中の炎症性サイトカイン濃度変化について検討し、血液脳関門機能低下因子を同定する。この成果は、血液脳関門病変化に基づく関連疾患発症・病期予測、治療設計・評価および薬物中枢性副作用予測を可能にし、それらに対する早期介入および治療適正化の実現を推進する。
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Research Products
(4 results)