2010 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素の構成的発現に対するアンドロゲンの抑制作用とその機序の解析
Project/Area Number |
22590166
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小島 美咲 独立行政法人農業生物資源研究所, 家畜ゲノム研究ユニット, 上級研究員 (80355742)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / CYP1A1 / CYP1A2 / 構成的発現 / アンドロゲン / 肝臓 / 性差 / 品種間差 |
Research Abstract |
成熟したMeishan pig (M) の肝CYP1A1/1A2構成的発現には著しい性差が認められることを申請者らは報告している(Biochem.Pharmacol.75,1076,2008)。本年度は、このようなCYP1A1/CYP1A2発現における性差について性ホルモン、特にアンドロゲンの関与を明らかにすることを目的として、5ヶ月齢のMおよびLandrace pig (L)にテストステロン(T)を筋肉内注射し、肝CYP1A1/CYP1A2の発現量に与える影響を検討するとともに、成熟過程におけるそれら発現量と血清中T量との関連性について解析した。発現量の解析は、mRNAおよび蛋白質量、並びにMROD/EROD活性を指標として酵素活性を測定した。Mの肝CYP1A1/1A2発現には性差が認められ、1ヶ月齢で去勢し5ヶ月齢まで飼育した去勢雄ではそれら発現は雌と同様になる一方、Lではそのような性差はなく去勢による効果も認められなかった。両品種の去勢雄および雌にTを投与すると、これら発現量はMの雄と同程度まで低下した。生理的条件下でのアンドロゲンのCYP1A1/1A2発現に及ぼす影響を検討するために、1~5ヶ月齢の両品種の雄の血清中T量と肝CYP1A1/1A2発現量との相関性を解析した結果、血清中T量とCYP1A1/1A2発現量は負の相関性を示すこと、TのCYP1A1/1A2発現抑制作用には域値が存在し、雄のLにおける血清中T量はこの閾値を超えないことが明らかとなった。また、CYP1A1/1A2の転写因子として知られるAhRおよびARNTのmRNA量には両品種ともに性差は認められなかった。これまでCYP発現の性差は成長ホルモンにより生じることが報告されているが、本研究により、ブタCYP1A1/1A2の発現抑制には少なくともアンドロゲンが関与することが示唆された。
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Research Products
(2 results)