2011 Fiscal Year Annual Research Report
薬物代謝酵素の構成的発現に対するアンドロゲンの抑制作用とその機序の解析
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22590166
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
小島 美咲 独立行政法人農業生物資源研究所, 家畜ゲノム研究ユニット, 上級研究員 (80355742)
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Keywords | アンドロゲン濃度 / 常染色体性優性遺伝 / 肝臓 / 薬物代謝酵素 / 構成的発現 / IL-1 / 転写因子 / Cyp7a1 |
Research Abstract |
(1)雄のMeishan pig(M)とLandrace pig(L)で見られる血液中のアンドロゲン(Ad)濃度(M>L)や肝臓でのCYP1A1/1A2の構成的発現量(M<L)の品種間差が遺伝的に規定されているか否かを明確にするために、Mの雄とLの雌、および、Lの雄とMの雌を交配し、得られた各雄産子の血液中Ad濃度を経時的に測定するとともに、5ヶ月齢の雌雄産子における肝臓でのCYP1A1/1A2発現量を測定した。いずれの組み合わせで交配した場合にも、雄産子の血液中Ad濃度はMと同様にLよりも2-3倍高く、血液中Ad濃度が高い形質は、常染色体性に優性遺伝することが明らかになった。また、交配雄産子の肝臓でのCYP1A1/1A2発現はMと同様、雌に比較して顕著に抑制されており、ブタの肝臓におけるCYP1A1/1A2の構成的発現は、高濃度の血液中Adにより抑制されることが明らかになった。しかしながら、ブタCYP1A1/1A2遺伝子の発現制御領域には、Ad受容体(AdR)の結合配列は見あたらず、AdによるこれらCYP分子種に対する発現抑制は、AdRによる直接的な遺伝子発現抑制によるものではないことが示された。 (2)マウスの肝臓ではCyp7a1遺伝子の構成的発現が肝臓中のIL-1量により正に制御さることや、Adは肝臓中IL-1量の発現調節因子になることを報告してきた。本年度、Cyp7a1遺伝子の転写因子(FTF,LXRα,HNF4α SHP)の構成的発現量とIL-1量との間にも相関性が認められることを明らかにした。これらの結果より、Adは肝臓中IL-1の産生制御を介して、Cyp7a1転写因子の遺伝子発現、さらにCyp7a1遺伝子の発現に関わっている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ブタの血液中アンドロゲン濃度の高い形質が常染色体性に優性遺伝すること、アンドロゲンによりCYP1A1/1A2のみならずCYP2A19やCYP2E1の構成的発現も抑制されることを見出すなど、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
SulfotransferaseやUDP-glucronosyltransferaseについても合わせて検討し、肝臓の代表的な薬物代謝酵素の構成的発現に対するアンドロゲンの作用について総括する。また、血液中のアンドロゲン濃度が遺伝的に規定されていることが明らかになったことから、その遺伝的規定要因を解明する一環として、精巣のアンドロゲン合成/代謝酵素等の発現についての解析を新たに検討する。
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Research Products
(3 results)