2011 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成過程および精子における膜タンパク質ベイシジンの機能の解析
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22590168
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
前川 眞見子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (20181571)
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Keywords | 精子形成 / 精子 / 糖タンパク質 / ベイシジン / モノカルボン酸トランスポーター |
Research Abstract |
ベイシジン(CD147/EMMPRIN)は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する膜糖タンパク質で、多くの組織で発現し広範な機能を持つ。今年度はモノカルボン酸トランスポーター(MCT)とベイシジンとの関係に着目し実験を行った。MCTは、乳酸やピルビン酸などの輸送に関与しており、MCTが細胞膜に発現するためには、ベイシジンやエンピジン分子との結合が必要という報告がある。MCT1、MCT2およびMCT4に対する市販抗体を用いて、マウス精巣・精子における局在を調べ、ベイシジン分子との共存の可能性を調べた。マウス精巣の免疫組織化学を行った結果、MCT1は、造精細胞に存在したが、精巣内精子尾部には陽性反応は弱かった。MCT2は、精巣内精子尾部の主部に強く反応し、造精細胞には陽性反応は見られなかった。MCT4は、Leydig細胞に強い反応が見られ、造精細胞はほとんど染まらなかった。またMCT2は、精巣上体頭部精子において精子尾部の主部に、精巣上体尾部精子において精子尾部の中間部に強い反応が出た。このMCT2の精子における局在は、ベイシジン分子の局在と一致した。また、免疫沈降法により、MCT2分子が、抗ベイシジン抗体を用いて免疫沈降したとき、共沈することが示された。網膜やガン細胞においては、ベイシジンはMCT1およびMCT4と複合体を作り、MCT2とは共存しないと報告されているが、本実験の免染結果により、マウス精子においては、MCT2はベイシジンと結合しうることがわかった。このことは精子が乳酸を取り込むメカニズムが、他の細胞と異なり、特殊であることを示すのかもしれない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モノカルボン酸トランスポーターに対する市販抗体を用いているが、実験目的(免疫組織染色、WesternBlot法、免疫沈降法)に適した抗体の入手が困難であった。何種類かの市販抗体を購入して試してみる必要があった。
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Strategy for Future Research Activity |
抗MCT2抗体に関しては、有用な抗体を得たので、今後さらに実験を進めていきたい。その他の抗体についても、予算が許せば、購入して実験に使用する予定である。
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