2010 Fiscal Year Annual Research Report
死後CT撮影による三次元再構築画像を用いた破格検証の有効性への挑戦
Project/Area Number |
22590169
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松野 義晴 千葉大学, 予防医学センター, 准教授 (00376378)
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Keywords | 解剖学 / 死後CT / 画像分析 / 破格 / 体型データバンク |
Research Abstract |
<研究の目的>本研究は、Autopsy Imaging(死亡時画像病理診断)の手法を応用し、肉眼解剖実習に提供される解剖体の全身に対するCT撮影(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)によって得られる三次元再構築データの精査(読影)を行うことで、稀に肉眼解剖実習によって遭遇する解剖体内の破格(Variation)を、"解剖前"に検証する有効性について究明することを第一義とする。研究初年度の平成22年度には(1)解剖体へのCT撮影と撮影条件の確立、(2)"簡易式"造影剤注入法の確立のCT撮影に対する技術条件の検証を行うことを掲げた。<研究の実施による成果>検証が遅れている(2)簡易式"造影剤注入法の確立については、死後日数の経過により血管内血液凝固を来す解剖体へ安全かつ効率的に造影剤を注入する方法の選定に時間を要したことから、次年度の研究計画に組み込むに至ったが、84歳の日本人女性(ID08-09)への三次元再構築画像の読影結果から大動脈から分岐する動脈走行パターンの変異(破格)が疑われる解剖体に遭遇し、その解剖結果から右鎖骨下動脈を大動脈弓の最終枝とする形態異常が確認された。この成果は、解剖前のCT画像読影が、弾性動脈の異常を発見することに有用である可能性を示唆する。肉眼解剖実習で遭遇する破格の報告が多々されているが、見逃されているケースも多々存在することが想像される。特に肉眼解剖実習では、解剖前のCT画像の読影後に解剖を行う検証方法の確立により、予め構造異常を知った上で解剖を行うことが有用と考えられる。この検証方法の確立により、肉眼解剖実習が教科書に記載される正常構造物の確認作業のみならず、破格や術痕などの臨床情報をより詳しく学習、検証出来るようになることが期待される。一方、解剖体に対する造影剤注入技術の向上や、血管系以外の部位におけるCT画像の有用性をさらに評価するため、今後より一層の研究成果が期待される。
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Research Products
(1 results)