2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期浮腫を示す内皮細胞遺伝子変異マウスの病態と分子機構
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22590173
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平島 正則 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (40383757)
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Keywords | マウス / 遺伝子変異 / 発生 / 胎生期浮腫 / リンパ管 / 血管 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、Asppl-/-マウスとFltl+/-マウスが胎生期に一過性の浮腫をきたしながら、成体まで正常に発育することを見出した。本研究では、これらの「予後の良い」胎生期浮腫を示す内皮細胞遺伝子変異マウスの病態と分子機構の解明を目的とする。 前年度までの解析で、Asppl-/-マウスにおいてはリンパ管形成・機能異常が存在し、Fltl+/-マウスにおいては血管透過性が亢進していることが明らかになった。そこで、これらのマウスを交配し、Asppl-/-;Fltl+/-ダブル変異マウスの血管透過性、血管・リンパ管形成、心臓形成について解析した。血管透過性については、Asppl-/-:Fltl+/-ダブル変異マウスにおいても亢進していることが明らかになったが、Asppl-/-マウスでは正常であった。リンパ管形成についても、Asppl-/-マウスと同等の異常所見を認めたが、逆にFltl+/-マウスでは正常であった。心臓形成はこれらすべての遺伝子型で正常であった。 前年度の解析で、Fltl-tkマウス胎仔に浮腫が見られなかったため、Fltl+/-マウス胎仔で見られる浮腫の直接の原因は、VEGF-A局所濃度の上昇であることが示唆された。野生型、Asppl-/-、Fltl+/一、およびAsppl-/-;Fltl-/-ダブル変異マウスから胎仔組織を採取した後に、組織ライセートを調整しFlklや血管透過性に影響するVE-カドヘリン,Src,eNOS等のリン酸化状態を生化学的に解析した。現在までに、Fltl+/-マウスにてFlklリン酸化の上昇を認めているが、その他のシグナルについては更なる解析を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に問題なく、順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
Asppl-/-;Fltl+/-ダブル変異マウスの大半が胎生致死となるが、Fltl+/-マウスにおいてFlklシグナルが増強しているための血管透過性亢進が一因であると考えられる。今後は、Flklの下流で血管透過性亢進に関与しているシグナルを明らかにして、その制御を行うことで胎生致死を回避できるかどうか検討する。
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