2010 Fiscal Year Annual Research Report
生殖系細胞・器官で発現するユニークな機能分子の発生形態学的研究
Project/Area Number |
22590175
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉永 一也 熊本大学, 大学院・科学研究部, 教授 (50136719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 堅太郎 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (20404345)
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Keywords | 細胞・組織 / 発生・分化 / 糖鎖 / 生殖器 |
Research Abstract |
生殖細胞は種族を維持し新しい個体をつくる重要な細胞であり、生殖器は雌雄の形態の違いが顕著に見られるユニークな器官である。本研究では、このような生殖系細胞・器官の形成メカニズムを解明するために、糖鎖、チャネル分子、細胞間シグナル分子などに注目し、これら分子の発現・局在動態と生体内機能について、発生学および分子形態学的視点から細胞組織~個体レベルで解析することを目的としている。本年度の研究成果を以下に示す。 (1)精子の機能的成熟には精巣上体上皮から分泌される因子が重要であることは分かっているが、上皮一精子間相互ほ作用でどのような因子が実際に機能しているかはほとんど分かっていない。そこで、精巣上体上皮で発現する糖鎖について、レクチン組織化学的に調べた。その結果、ある種のレクチンは精巣上体の特定領域や特定上皮細胞に結合することが分かった。このことから、糖鎖構造の違いが精巣上体の機能を生み出す可能性が示唆された。また、特定の上皮細胞に陽性反応を示したレクチンは、分化マーカーとして応用できる可能性が示唆された。 (2)生殖器とくに外生殖器における雌雄の形態の違いを生み出すにはホルモンの作用が必須であることは分かっているが、その下流でどのような因子が機能しているのかはほとんど分かっていない。そこで、外生殖器形成に重要な機能があると考えられる増殖因子や転写因子群の発現について、その発現に雌雄差がないか調べた。その結果、ある増殖因子のアンタゴニストの発現が雌で高いことが分かった。この結果から、この増殖因子シグナルの活性化のバランスが外生殖器形成の雌雄差を生み出す可能性が示唆された。
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