2011 Fiscal Year Annual Research Report
脾臓形成を制御する遺伝子ネットワークの同定とその作用機序
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22590176
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
勝 賢二郎 熊本大学, 発生医学研究所, 助教 (30363526)
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Keywords | 解剖学 / 発生・分化 / 臓器形式 / 脾臓 |
Research Abstract |
1.FGFシグナルは脾臓形成にどのように作用するのか? 申請者は、FGFR1、2を介したシグナルが脾臓形成の何らかの過程を制御すると仮定している。この仮説を検証するため、前年度で得られた脾臓の遺伝子マーカーを用いて、FGFシグナルを活性化または抑制したときの発現変化を調べた。FGFR2の活性型または機能阻害型改変遺伝子は海外の研究者より提供を受けた。これらよりpCAGGS-FGFR2発現ベクターを構築し、孵卵2日目のニワトリ胚の予定脾臓形成域にin vivoエレクトロポレーションで導入した。孵卵4日目に胚を固定し、脾臓遺伝子マーカー(Hox11.Pod1,Barx1,Bapx1)の発現変動を検討した。その結果、機能阻害型FGFR2が導入された脾臓原基細胞では、Barx1の発現が抑制されることがわかった。 2.脾臓形成を制御するFGFリガンドは何か? 1.と並行して、FGFリガンド候補を探索した。FGFリガンドに対するPCRプライマーを設計し、4日目のニワトリ胚より作製したCDNAを用いてRT-PCRを行った結果、15種のFGF cDNAを得た。これらを用いてin situ hybridizationにより発現パターンを確認したところ、FGF16が脾臓領域に発現することを見出した。FGF16は3.5日胚より脾臓領域のmesotheliumに発現を開始し、8日目までに消失した。FGF16の発現期間は脾臓が腸管より膨出する時期に相当するため、脾臓原基の増殖にはmesotheliumがシグナル源となり、この増殖にはFGF16シグナルが関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に記載した内容は、ほぼ全てを遂行している。実験結果は大きく予想を外れることはなく、想定の範囲内に収まっている。これまで報告例の無かった、脾臓発生とFGFシグナルを関連づける結果が順調に得られており、本研究の今後の進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
論文作成を念頭におき、計画に従ってこのまま研究を進める。前年度のデータで論文を作成中であるため、これを完成させ、早期の受理を目指す。
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