2011 Fiscal Year Annual Research Report
プラコード前駆領域と感覚器プラコードの細胞系譜と頭部形成における機能解析
Project/Area Number |
22590179
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 滋 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70306108)
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Keywords | 器官形成 / 感覚器官 / プラコード / 転写制御 / 解剖学 / 発生生物学 / ニワトリ / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本研究はプラコード前駆領域(PPR)と感覚器プラコードというユニークで重要な細胞集団の細胞系譜と移動、分化、頭部形成における機能の理解を目的とする。目的達成に向け、PPRとプラコードからの感覚器形成に必須なSix1ホメオボックス遺伝子のエンハンサーを利用した種々の解析を行う。本年度の実績は以下の通りである。1)Stx1-8(神経節プラコードエンハンサー)の制御下でCreを発現するマウス系統の解析により、このエンハンサーは鼻プラコードでも転写を活性化することがわかった。その時期は、Six1-21(メインの鼻プラコードエンハンサー)よりも早く、また、前脳に向かって移動するパイオニアニューロンと思われる細胞が優先的に標識される、という特徴を持つらしいことがわかってきた。この結果は、鼻プラコード/嗅上皮に生じるパイオニアニューロン特異的なエンハンサーが存在する可能性を示しており、嗅上皮の発生とパイオニアニューロン形成の分子基盤を解明するための重要な第一歩であると考え、詳細な解析を続けている。2)一方、Six1-21を利用したCre発現系統では約半数の個体で非特異的な発現パターンが観察される、という特徴は、戻し交配を継続したが変化は見られなかった。そのため、新たなラインの確立を目指すことにした。3)Six1-14(前側PPRエンハンサー)の活性は前側PPRに限局されている。隣接するSix4近傍の保存配列のエンハンサー活性を検討した所、神経板を除く外胚葉全体で転写を活性化することがわかった。この配列とSix1-14との組み合わせでPPR全体での転写が活性化される可能性が浮上してきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Six1-21エンハンサー制御下でCreを発現するマウスでは約半数の個体で非特異的にCreが発現することが明らかとなった。このマウスの本研究計画と感覚器研究全般を推進するツールとしての重要性を考えて、計画にはなかった原因の解明と、戻し交配等によって状況が改善する可能性を探ってきたが、期待通りにはならなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)Six1-21エンハンサー制御下でCreを発現するマウスについて:特異的に発現する胚だけを選別して、解析を行うことはできるが、研究の推進と論文作成のしやすさ、このマウスのツールとしての重要性を考えると、本計画期間中にSix1-21の活性に忠実にCreを発現する新たなマウス系統の樹立が肝要だと結論した。受精卵への再インジェクションと多数のファウンダーのスクリーニング、もしくは、ゲノム中の特定の部位(ROSAまたはHprt遺伝子座)へのノックインにより、できるだけ早い樹立を目指す。 (2)PPRエンハンサーについて:Six1に隣接するsix4近傍の保存配列とSix1-14との組み合わせでPPR全体での転写が活性化される可能性が浮上してきた。この問題に決着をつけた後、PPRエンハンサーを利用した解析を進める。
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Research Products
(2 results)