2011 Fiscal Year Annual Research Report
血球および骨髄由来細胞によるリンパ管形成制御機構の解明
Project/Area Number |
22590187
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市瀬 多恵子 東京大学, 医科学研究所, 助教 (00396863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市瀬 広武 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10313090)
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Keywords | リンパ管 / PLC-gamma2 / VEGFR-3 / Cre/loxP / マウス |
Research Abstract |
本研究の目的は、骨髄由来細胞や血球によって制御されることが示唆されている、血管からのリンパ管の分離、あるいは分離状態の維持が、どのような血球によって、またどのような内皮細胞の変化によって成立するのかを明らかにすることである。具体的には、1)リンパ管内皮細胞をEGFP で標識したリンパ管可視化マウス(Vegfr3-GFPノックインマウス)を利用して、正常発生および血管・リンパ管の分離異常が引き起こされる環境下でのリンパ管の挙動を解析する。2)その挙動を決定づける細胞の種類を同定するために、マウスPlcg2 遺伝子の時期・組織特異的遺伝子改変を、Cre/loxPシステムを利用して実施し、リンパ管の挙動変化を引き起こすCre ドライバーマウスを見出す。 平成23年度においては、以下の研究を実施した。1)Vegfr3-GFPノックイン・アリルを利用した、Plcg2遺伝子変異マウスの異常なリンパ管網の可視化を行なうためのマウスの交配を進めた。2)Cre/loxP組換えによってPLC-gamma2の発現を制御できる遺伝子改変マウス、および複数のCre ドライバーマウスを利用した、組織特異的PLC-gamma2の発現誘導によるレスキュー実験によって、正常な血管・リンパ管形成に寄与する細胞の種類を絞りこみ、巨核球あるいは血小板が中心的なレギュレーターであることを強く示唆する結果を得た。しかし、本研究で使用した巨核球特異的として知られるCreドライバーマウスにおいて、巨核球以外の細胞での組換えが起こっていることも同時に見出したため、分離制御における巨核球および血小板の機能を、別の実験系によって明らかにする必要が生じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の研究計画において、不死化細胞の単離での使用を予定していた遺伝子導入マウスの巨核球で変異型SV40T抗原の発現が認められないことが明らかになったため、不死化巨核球を作成し、血管・リンパ管分離のin vitro再構成実験系を構築して分子機構を解析するとする実験計画に遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
変異型SV40T抗原をCre/loxP遺伝子組換えでコンディショナルに発現する遺伝子ユニットを構築し、Rosa26遺伝子座に当該遺伝子ユニットをノックインで導入したマウスを作成し、Plcg2遺伝子変異マウスやCreドライバーマウスとの交配によって、Plcg2遺伝子欠損および野生型の不死化巨核球を単離するためのマウスの作出を進める。
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