2011 Fiscal Year Annual Research Report
SOHLH転写因子を中心とした生殖細胞分化における転写制御ネットワークの解析
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22590190
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮崎 純一 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (10200156)
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Keywords | 遺伝学 / 遺伝子 / 解剖学 / 発現制御 / 発生・分化 |
Research Abstract |
bHLH型転写因子SOHLH2は、生殖細胞特異的に発現し、雄ノックアウト(KO)マウスは、分化型精原細胞への分化が障害されており、Sohlh1,Kit,Sox3など、精原細胞の分化に関わる遺伝子の発現が低下する。一方、雌KOマウスでは、一次卵胞の形成障害を認め、Sohlh1,Kit,Zp1,Zp3,Gdf9など、卵形成に関与する遺伝子の発現が低下する。同じく生殖細胞特異的に発現するbHLH型転写因子SOHLH1をコードする遺伝子のKOマウスにおいても、雌雄ともにSohlh2 KOマウスと同じ組織学的な異常を認めた。bHLH型転写因子はホモあるいはヘテロダイマーを形成し、遺伝子の発現制御を行うことが知られている。実際に、精原細胞および卵母細胞においてSOHLH1とSOHLH2は共局在した。強制発現系において2つのタンパク質はホモダイマーおよびヘテロダイマーを形成することが示された。次に、レポーターアッセイにおいて、Sohlh1 promoterは、SOHLH2とSOHLH1の両者の共存下で顕著に活性化した。Sohlh1 promoterにはbHLH型転写因子が結合すると予測される3つのE-box配列が存在した。3つのE-box配列のそれぞいずれかに変異を導入するとSohlh1 promoterの活性化は阻害された。今年度の研究で、このヘテロダイマーにさらにSP1が結合している可能性がレポーターアッセイで示された。これらの結果は、SOHLH1/SOHLH2/SP1コンプレックスがE-box配列を介してSohlh1遺伝子の転写を促進する可能性を示唆している。さらに、これらの転写因子が実際にin vivoでSohlh1 promoterに結合しているかどうかを検討するために、胎児期のマウス精巣を用いてCHIP assayを行う予定で、そのための準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの解析結果は、SOHLH1/SOHLH2/SP1コンプレックスがE-box配列を介してSohlh1遺伝子の転写を促進している可能性を示唆している。予定していたレポーターアッセイ、免疫沈降実験はほぼ終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoで、SOHLH1/SOHLH2/SP1コンプレックスがE-box配列に結合していることを証明するために、胎児期の精巣を用いて、CHIP assayを行う予定である。この実験系については当研究室では経験がないが、近くの研究室で経験者がいるので、実験条件などについて相談することが可能である。この結果がまとまれば、予定していた実験は終了し、論文としてまとめることが可能である。
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