2010 Fiscal Year Annual Research Report
純化した下垂体前葉細胞を用いた細胞-細胞間、細胞-細胞外基質間情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
22590192
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
屋代 隆 自治医科大学, 医学部, 教授 (80119859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 元史 自治医科大学, 医学部, 教授 (60332988)
藤原 研 自治医科大学, 医学部, 講師 (00382945)
堀口 幸太郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (10409477)
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Keywords | 下垂体 / 純化 / 情報伝達 |
Research Abstract |
下垂体前葉細胞の一つである濾胞星状細胞(FS細胞)が、細胞外マトリックス、特に、基底膜成分であるラミニンとの相互作用(マトリクライン作用)によってFS細胞間ギャップ結合形成が促進されることを明らかにし、学術論文に掲載された。さらに、FS細胞がマトリクラインによって分裂を示すという機能的変化に着目し、そのシグナル伝達機構を形態学的手法、及び分子生物学的実験手法を用いることで明らかにすることを試みた。その結果、ラミニンレセプターであるインテグリンβ1がFS細胞において発現し、ラミニンをリガンドとして認識後、インテグリンβ1細胞内ドメインと結合するカベオリン3を介して、MAPK経路に情報が伝わり、最終的にサイクリンD1発現増加が引き起こること、そして、FS細胞は細胞周期をG1期からS期へと進行させることで分裂を引き起こすという一連のシグナル伝達機構を実証した。 トリプシン処理によって分散させたラット成体の下垂体前葉細胞に、Alexa488で標識されたコレラトキシン・Bを加えてインキュベートしたのちにセルソーターでAlexa488陽性の分画を採取することで、GH細胞とその他のホルモン産生細胞をほぼ完全に選別する方法を確立することに成功した。この方法を用いて得たGH細胞とその他の細胞間でのcDNAアレイを行い、GH細胞に高発現している遺伝子を抽出した。その結果、これまでに報告されていなかった液性因子及び細胞接着因子の転写産物が多数存在していた。この結果は、下垂体前葉内におけるGH細胞の機能を明らかにする今後の研究に役立つデータベースになると期待できる。現在はその中でも細胞接着因子に焦点を当て、GH細胞同士、及びその他のホルモン産生細胞間との相互作用に与える接着因子の役割について、免疫組織化学やin situ hybridization等を用いて検討を行っている。
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Research Products
(10 results)