2011 Fiscal Year Annual Research Report
純化した下垂体前葉細胞を用いた細胞―細胞間、細胞―細胞外基質間情報伝達機構の研究
Project/Area Number |
22590192
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
屋代 隆 自治医科大学, 医学部, 教授 (80119859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 元史 自治医科大学, 医学部, 教授 (60332988)
藤原 研 自治医科大学, 医学部, 講師 (00382945)
堀口 幸太郎 自治医科大学, 医学部, 助教 (10409477)
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Keywords | 下垂体 / 純化 / 情報伝達 |
Research Abstract |
下垂体前葉細胞の一つである濾胞星状細胞(FS細胞)が、基底膜成分であるラミニンとの相互作用(マトリクライン作用)によって移動及び増殖が促進する機構にマトリクスメタロプロテアーゼ9が関与していることを明らかにし、学術論文に掲載された。さらに、ラミニンコートしたディッシュを用いた初代培養下でFS細胞同士が突起を伸ばし合って集団を形成する現象に着目し、機構を形態学的手法、及び分子生物学的実験手法を用いることで明らかにすることを試みた。その結果、誘導因子として知られるケモカインCXCL12とその受容体CXCR4がFS細胞に発現し、機能していることが明らかになった。以上より、FS細胞同士の相互作用に関して、FS細胞から分泌されるCXCL12を受容した他のFS細胞が、マトリクスメタロプロテアーゼ9によって基底膜成分を分解しながら目的のFS細胞に向かって突起を伸ばして移動し、FS細胞集団を形成するという、分子レベルでの説明が可能となった。 トリプシン処理によって分散させたラット成体の下垂体前葉細胞に、Alexa488で標識されたコレラトキシン-*Bを加えてインキュベートしたのちにセルソーターでAlexa488陽性の分画を採取することで、GH細胞とその他のホルモン産生細胞をほぼ完全に選別する方法を確立することに成功した。この方法を用いて得たGH細胞とその他の細胞間でのcDNAアレイを行い、細胞接着因子に着目してGH細胞に高く発現している転写産物を抽出した。その結果、これまでに下垂体での報告がないNcam2等の接着因子、またBrevican等の膜型のプロテオグリカンが見出された。現在はこれらの因子に関してreal-timePCR及びin situ hybridizationでGH細胞への存在を確認中である。また、このアレイ解析によって、GH細胞で優位に発現の多い未知の分泌因子をいくつか見つけることができた。よって、細胞接着因子以外に関しても、下垂体前葉内におけるGH細胞の機能を明らかにする有用なデータベースとして活用できると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マトリクライン研究に関しては、FS細胞を中心にその下垂体前葉内での重要性が明らかになってきた。現在も解析中の多数の現象が存在し、更なる進展が見込める。また、GH細胞の純化に成功し、アレイ解析のデータベースが完成した。このデータは、今後のGH細胞の機能解析に大いに役立つと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は順調に遂行されており、問題点は特段見当たらない。よって、今後も研究計画に則って遂行する予定である。しかしながら、昨年度、当研究室にレーザーマイクロダイセクション装置と倒立型共焦点レーザー走査型顕微鏡が学内の共同利用機器として導入された。これらの機器を使うことにより、新たなアプローチ法で解析を行うことが可能となる。本研究計画にはこれらの機器を用いた解析は予定していなかったが、研究は順調であり、時間的余裕も見込める。下垂体前葉の細胞一単位での遺伝子発現解析、及び組織培養のイメージング等、研究目的に沿って有効に活用したい。
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Research Products
(16 results)